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広島リカレント学院 第五期 2024年4月-2025年3月

1回目 教養講座 2024年4月10日(水)

・演題/人生百年の歌
・講師/佐藤利行 先生(福山市立大学長)
・専門/中国古典文学、著書『西晋文学研究』『陸雲研究』『王羲之研究』等

今回の講師は、福山市立大学長で中国文学者の佐藤利行先生。中国最初の教科書ともいわれる論語についてまず説明がありました。「子曰く…」で始まる有名な論語は、孔子の死後、その教えを弟子たちがまとめたもので、それまで中国には書物はありませんでした。それゆえ、孔子は弟子たちに口移しでその教えを説いたのです。
論語が短くて覚えやすいのはそのためだそうです。孔子の教えで有名な「仁」という言葉の意味は、「己の欲せざるところ、人に施すなかれ」で、相手の立場になって考える、すなわち、自分がされたら、嫌なことは、人にはしてはいけないという意味です。当時は50歳で長生きとされていましたが、孔子は73歳まで生きたそうで、唐の詩人、杜甫の「人生七十古来稀なり」という言葉も生まれました。満70歳になった時に使われる「古希」は、ここから来ているそうです。
続いての講義は、漢字と日本文字の関わり。日本の文字は中国から渡ってきた漢字を、日本人が新たに工夫をして作ったものですが、もし漢字が大陸から伝わっていなければ、日本独自の新たな文字が生まれていただろうという興味深いお話でした。
最後に本題である、陸機の楽府とも言うべき有名な詩「百年の歌」を分かりやすく要約してくださいました。十代から始まるこの歌は四十代以降、自らの将来を想像してのものでありますが、七十代で「気力も次第に衰え、体力も失われる」と、徐々に悲しい歌になり「百歳になれば、寿命も尽きて体も痩せてしまい… 口にはよだれを垂らしてしまい… 横になっても食事をしても、また安らぐことはない」と自の運命を歌にしたものでした。
学生時代以降、久々の漢文の授業に、皆さん興味津々。あっという間の90分でした。
2024.04.10佐藤先生 2024.04.10佐藤先生

 

 広島リカレント学院 第四期 2024年4月-2025年3月

40回目 教養講座 2024年3月27日(水)

・演題/心って何だろう
・講師/牟田泰三 先生(元広島大学長)

第4期の最終講義は、元広島大学長の牟田泰三先生の『心ってなんだろう』でした。
牟田先生は、中間子理論で日本初のノーベル賞を受賞された湯川秀樹先生のもとで理論物理学を研究され、多くの実績を残されました。その牟田先生が、現在思索を深められているのが心です。
『心ってなんだろう』ということについては、昔から、宗教家、哲学者、心理学者、生物学者、医学者などさまざまな分野の人が関心を寄せ、思索し、研究してきました。しかし、「心とは……だ」という、万人が納得する客観的根拠に基づいた定義はありませんでした。しかし、fMRI(磁気共鳴機能画像法)により直接脳の働きを観察できるようになり、心の科学的解明の扉が開かれようとしています。また、AIの発達は「コンピュータに心が生まれるかもしれない…?」というところまできています。
牟田先生の講義で、脳の働きを調べる近代的方法、脳幹・小脳・大脳の働き、脳神経細胞の連携、脳の働きに対する理論、そして、クオリア(感覚質)と呼ばれる、「ものを見る、音を聞く、悲しい思いをする、嬉しくなる」などの、コンピュータで実現できていない感覚意識体験について教えていただきました。
牟田先生は、講義の最後に次を予想されました。
《考えてみよう》

  • 意識はコンピュータ上で生成できるだろうか?
  • クオリアはコンピュータで実現できるだろうか?
  • コンピュータは感情を持つことができるだろうか?
  • コンピュータは心を持つことができるだろうか?
  • コンピュータ上の心を消去することは犯罪になるか?
  • 心を持ったコンピュータが開発されたら、スマホの購入時に、やさしいスマホ、賢いスマホ、上品なスマホ…?
  • この世界は私が見ているからあるのだろうか?
  •  

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    2024.03.27牟田先生 2024.03.27牟田先生

     

    広島リカレント学院(第四期)39回目 教養講座 2024年3月13日(水)

    ・演題/体の抵抗力を高めよう
    ・講師/寺本 裕 先生(広島伝統生薬研究会会長)

    講師は広島伝統生薬研究会会長の寺本裕さん。昨年に続いて2回目の健康講座になります。寺本さんは、広島市内でカウンセリング薬局を経営され、日々漢方を中心に患者さんの視点に立って相談にのっておられます。
    今回は免疫についてのお話。免疫とは人間が生まれながらにして持っている力ですが、その力をどのようにしてキープしていくかが健康を維持していくのに大切なのです。インフルエンザにかかると高熱が出ます。まさにその時に免疫が菌と戦っているので高熱になるのです。ですから、熱が出るのは元気だという証なのです。その反動で熱が下がると、私たちは病気が治ったと思って油断しますが、熱が下がった直後、実は体力が一番弱っている時なのだそうで、2日間ほどは用心する必要があるそうです。後遺症をずるずる長引かさないためにも免疫の力を大切にしましょう。
    人は36.5度の体温がベストだそうで、そのために体をリラックスさせて副交感神経の働きを活発にさせる、さらに寺本さんの言う酸味・苦味・辛味のあるイヤイヤ食品を意識的に食して老廃物を排出、さらに嫌悪反応で副交感神経を優位にさせる。ただし、刺激の強いものを取りすぎると必要以上に交感神経を刺激してしまうので要注意だそうです。何事も程々にということですね。
    このほか、屋外での過ごし方や入浴の仕方など日常生活の工夫で、ストレスを減らして、免疫力をいかにアップさせていくかという寺本さんのワンポイントアドバスに、受講生の皆さんは納得の様子でした。
    2024.03.13寺本先生 2024.03.13寺本先生

     

     

    広島リカレント学院(第四期)38回目 教養講座

    2024年3月6日(水)

    ・演題/子どもの目の文学的効果」の講義概要(田中久男)24-3-6
    ・講師/田中久男 先生(広島大学名誉教授)
    ・学歴/三原高等学校卒業、広島大学教育学部外国語学科卒業、広島大学大学院文学研究科)博士課程修了(文学博士)
    ・職歴/九州工業大学(7年間)、広島大学(28年間)、福山大学(7年間)
    ・専門/アメリカ文学、アメリカ文化
    ・現在/広島大学(非常勤)、広島女学院大学(非常勤)

    〈田中先生のお話の要旨〉
    この講義は、ヘミングウェイの「インディアン・キャンプ」と、フォークナーの「あの夕陽」という代表的な短篇を使って、普通の読み方では見落としかねない子供の目の文学的な効果を考えてみようとしたものです。すなわち、大人たちが習慣化された生活の中で鈍感になっている現実のさまざまな出来事と、純粋で無垢であるがゆえに、子供たちの感受性が敏感に反応する出来事との認識のギャップ着目することによって、現実に隠れている真実、あるいは謎を暗示しようとする技法を、原典を丁寧に読むことで確認しました。特にヘミングウェイのハードボイルド・スタイルの極意の一端を紹介しました。ライバルでもあった二人のモダニズム作家の登場によって、アメリカ文学は世界のひのき舞台にのし上がっていくのです。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    2024.03.06田中先生 2024.03.06田中先生

     

    広島リカレント学院(第四期)37回目 教養講座 

    2024年2月28日(水)

    ・演題/悪質不動産取引と意思形成過程
    ・講師/鳥谷部 茂 先生(広島大学名誉教授)・弁護士
    ・学歴/青森県立七戸高等学校卒業、法政大学法学部法律学科卒業、筑波大学大学院社会科学研究科法学専攻博士課程修了(法学博士)
    ・職歴/1981年4月近畿大学法学部講師・助教授、1991年4月広島大学法学部助教授、1992年4月広島大学法学部教授、2004年4月広島大学法科大学院教授、2018年3月広島大学を定年で退職
    ・専門/民法、不動産法、金融担保法、消費者法、比較法等
    ・現在/2018年4月〜広島大学名誉教授、2018年4月〜広島大学法学部客員教授、その他で非常勤講師、2018年11月弁護士登録(広島弁護士会)
    ・講義のポイント/最近も特殊詐欺が新聞・テレビで度々報道されている。若年成人には1日100万円等として闇バイトに誘惑する。他方、1人住まいの高齢者に対しては数人がかりで巧妙な特殊詐欺による高額な金銭の詐取等である。背後に反社の関与があり、一端巻き込まれると抜けられない恐怖がある。今回の講座では、特殊詐欺の不動産取引版である、悪質不動産取引等の実態(原野商法、造成地商法、なりすまし登記、原野商法二次被害、地面師詐欺、不当勧誘等の手口)と裁判例を紹介し、従来の意思表示の瑕疵論のみでは効果は期待できず、意思形成過程への対策・法整備(専門家の関与、公正証書制度等)が必要であることを提案する。

    〈鳥谷部先生のお話の要旨〉
    ◎第1に、わが国では、土地の相続、遺産分割、売買等においてもその登記は国に対する関係では義務ではなかった。その結果、関係者全員の同意取得が困難な場合や登記手続きが難しく経費が掛かる場合で、かつ、当事者間で特段の必要がない場合には所有権移転登記を直ちに行わないことがあった。
    ◎第2に、公証証書も義務付けられていない。わが国の公証人の数も非常に少ない。公証人は、事業用定期借地、事業債務保証、遺言等で需要が増加しているが、絶対数が少ない。登記の義務付けだけを優先すると真意に合致しない登記が増加する恐れがある。すべての登記を前提とする法律行為に公正証書の添付を義務付け公証業務担当者を拡大すべきである。
    ◎第3に、不動産取引の意思主義・対抗要件主義や形式審査主義のみでは意思形成過程に合致した登記を促進するとは限らない。意思能力低下、錯誤、詐欺、困惑等の場合になりすまし等を防ぐことができないからである。意思形成過程に専門家を関与させたうえでその登記と真意が合致した登記を効力要件とし、登記を受理した登記官に実質審査主義を導入すべきである。
    ◎第4に、諸外国で実施している制度がわが国では長年放置されてきたのは、国に対する登記義務を負っていない地権者ではなく、司法当局(法律家等)の怠慢であり、所有者不明土地の一因にもなっているのではないか。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    2024.02.28鳥谷部先生 2024.02.28鳥谷部先生

     

    広島リカレント学院(第四期)36回目 教養講座

    2024年2月14日(水)

    ・演題/金属資源と人間
    ・講師/於保幸正 先生(広島大学名誉教授)
    ・学歴/岡山大学理部地学科卒業、東京大学大学院理学系研究科地質学専門課程博士課程(理学博士)
    ・職歴/広島大学総合科学部助手,講師,助教授を経て広島大学総合科学部教授
    ・専門/地質学(構造地質学)
    ・講義のポイント/人間は岩石や金属を使用して特有の文化をつくってきた。一方で目の前の目的のためには何でもしてしまう人間の性質が金属汚染を広げてしまった。

    〈於保先生のお話の要旨〉
    ホモ・サピエンスとしての現代人は約20?25万年前に生まれ、岩石や金属を使用して特有の文化をつくってきた。先史時代には、金、銀、銅、水銀、鉛、錫、鉄が既に使われていた。中世(17世紀)までには、それらに加えてヒ素、アンチモン、ビスマス、亜鉛が使用されることになる。これらの金属の中で、特に金、銀、青銅(銅と錫の合金)、鉄およびアンチモンなどについて取り上げ、それらが人間の文化とどのように関わってきたのかについて言及する。また、金属が使用されることにより、人間の環境が汚染されることになる。その影響についても考察する。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    2024.02.14 於保先生 2024.02.14 於保先生

     

    広島リカレント学院(第四期)35回目 教養講座

    2024年2月7日(水)

    ・演題/活断層と地震
    ・講師/中田 高 先生(広島大学名誉教授 )
    ・学歴/広島大学教育学部等学校教育科卒業、東北大学大学院理学博士課程修了(理学博士)
    ・職歴/東北大学理学部助手、広島大学文学部助教授、広島大学文学部教授、広島工業大学環境学部教授
    ・専門/自然地理学、地形学
    ・講義のポイント/大地震の発生源である活断層の特徴と,活断層が引き起こした大地震について国内外の事例を紹介する。また,広島周辺の活断層について解説する。

    〈中田先生のお話の要旨〉
    令和6年1月1日午後、石川県能登地方で震度7の地震が発生し、大きな被害をもたらした。この地震(令和6年能登半島地震)は活断層地震である。「活断層」とは、最近の地質時代に繰り返し活動し、大地震を発生させる可能性の高い断層のことで、数千年間隔で繰り返し活動するものが多い。地下の断層が地表に達して、ずれ(地震断層)が置きる。断層から120m以内に全倒壊家屋の95%集中、「震災の帯」(倒壊率30%以上)は断層から50m、断層近傍(20m以内)の倒壊家屋のうち22%は昭和50年以降の建物である。
    広島市周辺に活断層の己斐断層・五日市断層がある。

    • 活断層(大地震の発生源)がどこにあるのかを確かめる。活断層の直上だけは避ける。近くに活断層などがある場合、大きな揺れが来ることを認識する。
    • 自分が住んでいる場所がどのような土地なのかを知る。沖積平野などの軟弱地盤ではないか?団地では、盛り土なのか切り土なのか?
    • 大きな地震でも倒壊しない家に住む。新たに家を建てる場合は、十分な耐震性を持った建物にする。古い住宅なら、耐震補強(柱や梁を金具でとめるなどでも良い)。
    • 万一に備え地震保険に入る。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20240207 20240207

     

    広島リカレント学院(第四期)34回目 教養講座

    2024年1月31日(水)

    ・演題/本と紙―羊皮紙と写本
    ・講師/原野 昇 先生(広島大学名誉教授)
    ・学歴/広島大学文学部文学科卒業、パリ大学博士課程修了(文学博士)
    ・職歴/広島女学院大学、広島大学文学部、放送大学
    ・専門/フランス中世文学
    ・現在/広島大学マスターズ幹事
    ・講義のポイント/ヨーロッパで紙が出現する前に広く用いられていた羊皮紙について、その製造過程など、実物をご覧いただきながら見ていきます。

    〈原野先生のお話の要旨〉
    音声による言語活動は、「今」「ここ」を共有する人の間でしか成立しない。
    それを乗り越えるために、すなわち「今」「ここ」にいない人に言いたいことを伝えるために文字が作り出された。
    その文字を記録するために、すなわち視覚に訴える痕跡を残すための書写材料として、さまざまな物が利用されてきた。石や岩、木、木の葉、木の皮、竹、動物の骨、亀の甲、金属、などのほかに、粘土板、蝋版、パピルス、羊皮紙、紙、磁気テープ、ディスク、USBメモリ、マイクロチップなどである。
    その中で、紙が利用される以前に広く利用されていた羊皮紙について、実物をご覧いただきながら、その製造方法などをみていった。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20240131原野先生 20240131原野先生

     

    広島リカレント学院(第四期)33回目 教養講座

    2024年1月24日(水)

    ・演題/暮らしの中のエネルギー環境問題〜資源を賢く使って持続可能な社会を〜
    ・講師/田中春彦 先生(広島大学名誉教授)
    ・学歴/広島大学理学部化学科卒業、広島大学大学院修士課程修了(理学修士)、1972年理学博士(広島大学)
    ・職歴/1968年4月1日 広島大学助手、その後講師、助教授を経て教授。2006年広島大学定年退職 
    ・専門/化学の研究と教育、エネルギー環境教育
    ・現在/広島大学客員教授としてエネルギー・環境教育の普及活動に従事。
    ・講義のポイント/社会におけるエネルギー利用の現状と問題点、その対処法などと共に、地球温暖化などの環境問題や脱炭素化社会の実現に向けた取り組みなどについて解説します。また、昨夏始まったALPS処理水の海洋放出に関して、その近海の海産物を摂取した場合の安全性は担保されていることを科学的根拠に基づいて説明します。
    ・受賞等/平成15 (2003) 年3月20日 日本化学会化学教育賞受賞

    〈田中先生のお話の要旨〉
    先ず何が現在の地球環境問題を引き起こしているか、およびその対処法について化学の立場から考えてみます。またエネルギー資源の利用については我が国の極めて低いエネルギー自給率、持続不可能なエネルギー源利用の現状の下でカーボンニュートラル達成に向けて解決すべき多くの課題が山積しています。これらの課題の解決に向けてどのような心構えと対策が必要かを議論します。
    さらにエネルギー源選択においてリスク評価・管理の重要性にも触れます。次に現下のエネルギー環境問題は生物種の保全に対して重大なリスクを課しており、人間の安全、健康ひいては生命維持に対しても脅威となっている事実を思い起こすことが必要です。
    最後に、福島第一原子力発電所事故に伴いALPS処理水が海洋放出された近海の海産物を摂取しても安全であることを科学的根拠に基づいて説明します。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20240124田中春彦先生 20240124田中春彦先生

    当日、TSSテレビ新広島「ひろしま満点ママ!!プラス」の収録が行われました。2024年2月2日(金)に放送されます。

    20240124テレビ新広島 20240124テレビ新広島

     

    広島リカレント学院(第四期)32回目 教養講座

    2024年1月17日(水)

    ・演題/国際協力とグローバル人材の育成?JICA協力隊参加教員の変容と成長?
    ・講師/小林信行 先生(広島大学大学院人間社会科学研究科教育科学専攻 国際教育開発プログラム博士課程前期在学中)
    ・学歴/茨城大学教育学部博士課程修了
    ・職歴/茨城県公立小中学校 教諭・教頭・校長、青年海外協力隊、イラン(テヘラン)日本人学校教諭、オランダ(ロッテルダム)日本人学校 校長
    ・専門/教育学(国際教育開発)
    ・講義のポイント/教師のグローバル人材育成として、特にJICA協力隊や日本人学校に現職で派遣された教師の成長について解説します。

    【小林先生のお話の要約】
    31年間の小中学校教員と7年間の海外経験から教員のグローバル人材の育成の大切さについて解説しました。また、海外、特に発展途上国での経験の一つひとつがグローバル人材の資質とされる「日本人としてのアイデンティティ」、「広い視野」、「コミュニケーション能力」、「協調性」、「新しい価値を創造する能力」、「社会貢献の意識」を身につけるのにどのように関わっているのかを、JICA協力隊経験者へのインタビューや自分自身の体験談を交え考察しました。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20240117小林先生 20240117小林先生

     

    広島リカレント学院(第四期)31回目 教養講座

    2024年1月10日(水)

    ・演題/認知症と脳卒中の最近の話題
    ・講師/祢津智久 先生(広島大学大学院医系科学研究科脳神経内科学 講師)
    ・学歴/広島大学医学部医学科卒業・広島大学医歯薬学総合研究科博士課程修了(医学博士)
    ・専門/神経内科専門医、脳卒中専門医、総合内科専門医、頭痛専門医などの資格を有し、脳卒中、認知症、パーキンソン症候群、頭痛などの診療を主にしています。
    ・現在/脳卒中診療を主体とし、国内の関連機関と連携をとり臨床研究を推進し、広島県内の脳卒中レジストリーの構築、脳卒中診療の質の向上を目指しています。
    ・講義のポイント/認知症、脳卒中といった介護が必要な神経疾患の現状の問題点、最新の話題を中心に講演したいと思います。

    【祢津先生のお話の要約】
    認知症とは、「一度獲得した認知機能水準が低下」、「認知機能低下が持続」、「日常生活、社会活動に支障をきたす」などの症状が現れる。認知症には、「アルツハイマー型認知症」と「血管性認知症」の二つがある。
    アルツハイマー型認知症は、「緩徐に進行する神経変性疾患」、「大脳皮質、海馬での細胞死」、「短期記憶障害だけでなく、空間認知の障害、病識の低下、取り繕いが特徴的」という症状・特徴がある。アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる「レカネマブ」が登場したが、進行抑制効果が小さい、脳出血、脳浮腫などの副作用があるなどの課題がある。
    血管性認知症には、「脳梗塞」、「脳出血」、「くも膜下出血」により、脳に血液が届かなくなり、脳組織がダメージをうけることにより起こる。脳梗塞急性期治療が大切で、一刻でも早く「tPA治療」、「血管内治療」を受けられる搬送・連携体制づくりが求められる。また、日頃から高血圧、糖尿病の治療、塩分を摂りすぎない、酒・タバコを控える等の日常生活の管理が大切である。認知症、脳卒中は制圧可能な時代に突入しつつある?
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20240110祢津先生 20240110祢津先生

     

    広島リカレント学院(第四期)30回目 教養講座

    2023年12月20日(水)

    ・演題/男女共同参画に関する日本の諸法律
    ・講師/相田美砂子 先生
    ・学歴/神奈川県立横浜平沼高等学校卒業、お茶の水女子大学理学部化学科卒業、お茶の水女子大学大学院理学研究科修士課程修了、理学博士(東京工業大学)
    ・職歴/国立がんセンター研究所研究員、広島大学大学院理学研究科教授、広島大学理事・副学長(大学改革担当)
    ・専門/量子化学
    ・現在/広島大学特命教授

    先生から届いた講義概要です。
    2023年のノーベル経済学賞(アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞)が、ゴールディン教授(米ハーバード大学)に授与されました。米国の労働統計等に基づく精細かつ包括的な研究によって、労働市場におけるジェンダー格差の原因を明らかにしたものです。それらの研究はジェンダー格差解消のための政策立案者にとっても、貴重です。効果的な政策は、問題の原因を理解して初めて立案することができるからです。
    日本にも男女共同参画やジェンダー格差是正を目的とした法律や施策が多くあります。しかし、それらが施行されているからといって、現状が変化しているとは必ずしも言えないまま時が過ぎています。それらの法律や施策が、是正すべき問題点の原因を正しく理解したうえで、それを解決するために立案されているのか、という視点が必要です。
    ジェンダーギャップ指数GGGI(2023)では、日本の指数は0.647であり、146か国中125位です。「政治」と「経済」の値が極めて低い状態が続いています。特に「政治」の項目は138位であり、日本より低い国は8か国だけ(フィジー、オマーン、ミャンマー、ナイジェリア、イラン、レバノン、バヌアツ、アフガニスタン)、という事実は直視すべきです。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20231220相田先生 20231220相田先生

     

    広島リカレント学院 (第四期)29回目 教養講座

    2023年12月13日(水)

    ・演題/没後三〇年、井伏鱒二「人と文学」
    ・講師/岩崎文人 先生 (広島大学名誉教授・ふくやま文学館館長)
    ・略歴/1944年岡山県生まれ、岡山県立新見高等学校卒業、広島大学教育学部中等教育学科卒業、広島大学大学院文学研究科修士課程修了、広島大学大学院教育学研究科教授、広島大学付属三原小・中学校校長(併任)、広島大学付属三原幼稚園園長(併任)
    ・専門/日本近現代文学、原爆文学

    今回の講義は、岩崎文人先生による「没後三〇年、井伏鱒二『人と文学』」でした。
    先生から届いた講義のポイントです。
    広島県名誉県民でもある井伏鱒二は1993(平成5)年に死去していますので、今年は没後30年という節目の年になります。世界的にも評価の高い井伏文学をあらためて見直すとともに、井伏にとって郷土はどのような位置を占めていたかについて考えていきます。
    配布資料_井伏鱒二の文学
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20231213岩崎先生 20231213岩崎先生

     

    広島リカレント学院 (第四期)28回目 教養講座

    2023年12月6日(水)

    ・演題/広島県の将来ビジョン〜ひろしま未来チャレンジ、産業・観光〜
    ・講師/菅川健二先生 広島大学元客員教授
    ・出身/東広島市
    ・経歴/県立賀茂高校、東京大学法学部卒業後自治省(現総務省)に入省、大阪府、兵庫県を経て広島県総務、企画、商工労働の各部長、教育長、参議院議員、広大客員教授を歴任 
    ・専門/法学概論、行政学、地方自治論

    今回の講義は、広島県政が経営戦略の基本としている「ひろしまビジョン」を解明し、県民とのかかわりについて探求でした。先生から届いた要約です。
    広島県は、経営戦略の基本として2021年に「ひろしまビジョン」を策定し、2030年に目指す姿として「県民1人1人が安心の土台と誇りにより、夢や希望に挑戦している。」としている。そのための具体的な施策として、人づくり、暮らしづくり、仕事づくり、地域づくりについて、17項目を挙げている。DX、GX社会への対応、ひろしまブランドの強化、県民の主体的な生涯学習への支援が求められる。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20231206菅川先生 20231206菅川先生

     

    広島リカレント学院 (第四期)27回目 教養講座

    2023年11月29日(水)

    ・演題:茶席の掛け軸 「無事是貴人」 の意味するところ
    ・講師:思切斎  早瀬 宗光 (広島大学名誉教授)

    千利休が大成した「茶道」とは、行動を伴う「哲学」のことです。
    千利休は、日常茶飯の中で「哲学」として、「禅(禅寺)」での修行形態を再構築し、茶室での「所作や点前」へと凝縮しました。
    この度は、掛け軸: 「無事是貴人」 の意味するところを 深く考えて、哲学します。 
    「無事」 = 何事もないこと
    「貴人」 = 貴い人
    ここでいう 貴い人とは お金持ちとか、地位や身分の高い人 という意味ではなく心の貴い人、心豊かな人、精神的に優れている人、悟りを開いた人を指しています。
    即ち、「無事」であることは、「心の豊かな人であり、精神的に優れている人である」という意味になります( この真意は、どういうことでしょうか? )。
    さて、自分の体が「有事」のとき、心が「無事」でいられるか、どうか?
    どうぞ、お考え下さい。

    ? 「無事是貴人」 ?

    20231129 20231129早瀬

     

    広島リカレント学院 (第四期)26回目 教養講座 
    2023年11月22日(水)

    講義題目:イギリスの湖水地方を守った詩人ワーズワスと作家たち
    講師:天野みゆき 県立広島大学名誉教授
    専門:イギリス19世紀の文学と文化
    現在:県立広島大学非常勤講師

    天野先生から届いた要旨です。
    「ウィリアム・ワーズワス (1770-1850)、ジョン・ラスキン (1819-1900)、ビアトリクス・ポター (1866-1943) らが、いかに湖水地方の自然に魅了され、そこに自らの救いを見出し、この美しい地域をどのように守ろうとしたかを考察した。彼らの自然観および社会活動は多くの人々の共感と連帯を生み、鉄道敷設についての全国的な論争を経て、1895年のナショナル・トラスト設立に繋がっていった。特にワーズワスの影響力は大きく、彼の存在は英米両地域の景観保護運動における協力関係の原動力になった点でも注目されている。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20231122天野先生 20231122天野先生

     

    広島リカレント学院 (第四期)25回目 教養講座 
    2023年11月15日(水)

    講義題目:「ヒトの歩行運動の特徴と『健康ウォーキング』への招待」
    講師: 渡部 和彦 広島大学名誉教授

    先生からとどいた講義の抄録です。
    「ヒトの歩行運動」の科学的理解を基に、安全で効果的「健康ウォーキング」の実践に生かしていただきたい。
    1)ヒトの二足歩行は、ギクシャクしています。それをカバーする仕組み(構造):@足部のアーチ(縦アーチ、横アーチ)。A脊柱の湾曲。B上肢のバランス。C足幅。D各種感覚器官、等々。


    2)安定・安全歩行:かかと着地、「圧力中心点の軌跡」の意識。3)歩行速度の決定要因:ピッチとストライド(歩幅)4)ウォーキングの装備・点検事項・等々。

     

    ウォーキングは、健康にとてもよい効果があるようです。日本・世界のいろいろな研究で明らかにされているそうです。みなさま、ウォーキングに励み、健康に過ごしましょう。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    20231115渡部先生20231115渡部先生

     

    広島リカレント学院(第四期)24回目 2023年11月8日(水)

    演題:マイク一筋 55年
    講師:キャスター 柏村武昭 先生

    来年1月1日で80歳になるという柏村武明さん。がっしりとした体格は今も健在でパワー炸裂、とてもそんな年齢には見えない。「80歳になったら引退するなんて、これっぽっちも思っていないよ。」と早速笑いを誘っていました。
    55年間しゃべり続けた人生。でも、本人曰く「私の人生はジェットコースターのようなもの。」だそうです。DJ日本一、参議院選当選、テレビ宣言全国一位の視聴率。一方、広島市長選挙では大敗。とても悔しそうに話されていました。 
    柏村さんは、人と人との対話が大好きで、後半の授業は質問タイムになり、難しい政治問題から、プライベートな質問まで丁寧に答えてくれました。『元気な源は何ですか?』の問いには「ストレスをためない事。」だそうです。そのために大好きなゴルフは週に一度プレイするそうです。しかもスコアは90をきるというから驚きです。
    最後に、「人生はいつも今が最高。そして、今も学ぼうという気持ちがある皆さんは素晴らしい」と言われ、講義を締めくくりました。(野崎賢治)
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    2023.11.01川ア先生 2023.11.01川ア先生

     

    広島リカレント学院(第四期)23回目 2023年11月1日(水)

    演題:政治主導とは何か?−「政治と行政」関係の歴史・現状・課題−
    講師:広島大学名誉教授 川ア信文 先生
    専門:行政学、自治体論、フランス政治・行政

    川ア信文先生の講義資料「まとめに代えて」より
    @ 「政治と行政」関係、あるいは日本でいう「政官関係」を巡る議論は、近代の市民革命とそれによって生まれた議会政治、特に政党政治の進展によって始まった。選挙によって新たに政権の座についた政党は、行政官僚制を新しい大統領や内閣に忠実な組織に変えようとした。その手段が行政機関幹部の「政治任用」であり、英国の情実任用(patronage)や米国の猟官制(spoils system)という慣行と弊害を生じさせた。
    A 政治任用は当事者の行政官としての能力ではなく、政権への忠誠を重視したため、産業革命以降、行政の任務が拡大し、複雑・高度化する時代に対応できなくなった。そのため、19世紀後半に英・米両国は公務員制度改革に着手した。その原理は「政治的中立性」と「資格任用制(merit system)」であり、今日、これが世界標準となっている。
    B 「政治的中立性」とは、政治の介入から公務員の身分・地位を防御するための原理であるが、逆に府省内での自立的人事運営を許容し、府省間の割拠主義を強化することにもなった。「資格任用制」は採用や昇進に際して試験の点数や業務実績(merit)を判断基準とするが、政治家や国民を見下ろす独善的とも言われる学歴エリートを生み出す要因ともなった。
    C 後発国(late developed nation)たる日本では、急速な工業化の推進(近代化」)を推進するため「行政主導」による政策運営を選択した。その担い手が東京帝大卒業生を主力とする「高文官僚」であり、天皇主権を否定した国会による行政統制を唱える昭和憲法の下でもその威信と権威は持続した。閣内統一が軽視され、各省大臣が天皇に直結する「単独輔弼責任」制を導入し、重大な閣内不統一を生じさせた明治憲法は否定されたが、府省独自の政策運営の慣行は第二次大戦後も終わることはなかった。
    Dこうした行政官僚制のあり方が強く問われるようになったのが、高度経済成長の終焉とバブル崩壊以降の経済活動の混迷である。低成長と少子高齢化に起因する財政や政策運営の困難は、政治による国家運営の統一を従来にも増して強く求めるようになった。これが20世紀末から始まった政治・行政改革の背景である。こうした改革に、政策の形成と実施の主力たる公務員制度は当然含まれ、内閣人事局の創設はその象徴とも言える。
    Eそれでも近年しきりに、行政官僚の権威や威信の低下と、それに伴う職業としての魅力の低下が指摘されるようになった。具体的には、国家公務員総合職試験の志望者、とりわけ東大生の減少である。その分、私大や地方国立大の受験者、合格者の比率が高まっている。日本の行政官僚制の、従ってまた「政官関係」の変化変容は、法的制度改革にも増して、こうしたいわば公務員集団内部から生じてくるのかもしれない。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.11.01川ア先生 2023.11.01川ア先生

     

    広島リカレント学院(第四期)22回目 2023年10月25日(水)

    演題:「現代社会における暗号」
    講師:広島大学名誉教授 椿 康和 先生
    専門:情報資源管理、社会情報学

    講義は、暗号の基本と、現代生活の様々な場面で暗号の使用例を示すことから始まりました。といっても、私達は暗号と認識して使っているのではなく、コンピュータ間の通信が暗号化されているのです。有史以来使われてきた、暗号化と復号化に同じ鍵を使う共通鍵暗号には、情報化の進展により爆発的に増大したコンピュータ間の通信の暗号化に課題がありました。これを解決したのが、公開鍵暗号という画期的な方法です。公開鍵暗号方式では、暗号化と複合化に2つの異なる鍵を使い、一方を秘匿し他方を公開します。そして、公開された鍵が真正なものであることを保証する仕組みを社会基盤として提供することで、非対面的なネット上の商取引を安心して行えるようになっています。最後に、暗号にもとづく新たな情報管理技術であるブロックチェーンを紹介されました。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.10.25椿先生 2023.10.25椿先生

     

    広島リカレント学院(第四期)21回目 2023年10月18日(水)

    演題:「日本の発酵食品と健康」
    講師:広島大学名誉教授 加藤範久 先生
    専門:分子栄養学、食品健康科学

    先生から届いた要約です。
    近年、日本の麹菌発酵食品の健康効果についての研究の進展が目覚ましく、本講義で紹介した。麹菌はプロテアーゼなどの消化酵素を菌体外に多量に分泌し、これらの酵素が大豆や米などに作用してアミノ酸などの旨味成分を引き出している。驚くべきことに、これらの酵素を摂取すると腸内の善玉菌が顕著に増加することが動物実験で見出された。麹菌そのものも善玉菌である証拠も発表され、麹菌から分泌される健康に有益な代謝物も次々と見出されています。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.10.18加藤先生 2023.10.18加藤先生

     

    広島リカレント学院(第四期)20回目 2023年10月11日(水)

    演題:「優しい法律相談」〜身近なことから法律を考える〜
    講師:広島大学大学院実務法学専攻(リーガル・サービス・センター) 山田 幸 先生
    専門:民事訴訟法 コミュニケーション

    先生から届いた要約です。
    ここ数年、相続に関係する法律が変わっています。例えば、平成6年4月1日には、これまで任意であった「相続登記」は義務化され、それと同時に「相続人登記申請」の制度が新設されます。また、登記をした後の「住所等の変更登記」も義務化が予定されています。相続した土地を寄付できる「相続土地国庫帰属法」が創設されましたが、まだ利用しにくい面が多々あり改正が待たれるところです。その他にも色々とありますので、相続したけれど、登記変更が未了の不動産や空き家などをお持ちの方は早めに対策をお考え下さい。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.10.11山田先生 2023.10.11山田先生

     

    広島リカレント学院(第四期)19回目 2023年10月4日(水)

    演題:イングランド王ヘンリー8世―6度結婚した王様の功罪
    講師:広島大学名誉教授 植木研介 先生
    専門:イギリス・ヴィクトリア朝(1837〜1901)の小説

    先生から届いた要約です。
    イングランドの国王ヘンリー8世は1509年、18歳で王位に就きました。未だ10歳の時に、兄のアーサーが死亡しその妻キャサリン(出自イスパニア王家)と結婚。教会法で禁じられた結婚だったので、ローマ教皇の特別許可が必要でした。年上の妻との間には、娘メアリーしか産まれなかったので、男の子を望んだ国王は、キャサリンと1533年に離婚し、アン・ブーリンと結婚します。ところがローマ教皇がこの離婚を認めなかったため、ヘンリー8世は、折から起こっていた宗教改革を真似て英国国教会という曖昧な教会を作りその首長にも成ってしまいます。律義にも6回も結婚しましたが2人を処刑し、1人は産褥熱で死亡。生まれた男の子は王位に就きますが15歳ばかりで死亡。結局、安定したイギリスの現在でもその興隆で称えられる治世を実現したのは、処刑されたアン・ブーリンの娘エリザベス1世になってからでした。みなさん、どう思われます。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.10.04植木先生 2023.10.04植木先生

     

    広島リカレント学院(第四期)18回目 2023年9月27日(水)

    演題:自分史で綴る広島大学の変遷と展望
    講師:広島大学マスターズ(元 工学研究科応用化学、産学・地域連携センター) 白浜博幸先生
    専門:面化学、高分子化学(バイオプラスチック)

    先生から届いた要旨です。
    今回の講義では、(写真資料を基に自分史で綴る)新制広島大学の設立、変遷、並びに今後の展望についてお話しをさせていただきました。
    新制広島大学は昭和24年(1949年)4月に設立されました。小生が広島大学に入学したのは学生運動の真っ只中の昭和44年(1969年)でした。その頃は全学連の学生達に大学本部が占拠され、大学入学試験も広島工業大学の付属高校で受験しました。大学の正門も封鎖されて教養科目を受けることができずに、半年間(前期)は自宅待機でした。8月に警察の機動隊が導入され、やっと封鎖は解除されましたが、革マル派の学生達が授業を邪魔しに来て、まともな授業が受けられず、殆どの単位をレポート提出で取得しました。翌年からは漸く学生運動も収まりかけたので、その後は工学部の修士を無事修了することが可能となり、修了後の約4年2ケ月は三井東圧化学(現在の三井化学)で働いていましたが、1979年の6月に広島大学の教員として戻りました。
    その後、工学部が最初に西条地区に統合移転されたのが1982年4月でありました。しかし、次の生物生産学部が移転したのは4年後で周囲の環境もあまり整わず、食事も学食が主のままでありました。一番周囲の環境が整った最後の1997年に本部事務局が移転して、医歯薬の3学部を除く統合移転が完了しました。続いての大きな変遷は国立大学の法人化でした(2004年)。これにより、教員の研究費がそれまでの約4分の1に減額され、特に理系の教員は研究費を如何に獲得するかが大きな問題となり、その後の産学官連携活動へと繋がりました。最後に、今後の大学の在り方として、地域社会との連携やグローバル化社会への対応についてお話しをさせていただきました。

    配布資料_自分史で綴る広島大学の変遷と展望
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.09.27白浜先生 2023.09.27白浜先生

     

    広島リカレント学院(第四期)17回目 2023年9月20日(水)

    演題:私たちの、食料の安全保障 〜市民が考える安全保障、海外依存〜
    講師:広島大学名誉教授 山尾政博 先生
    専門:水産経済学、沿岸域資源管理、東南アジア農漁村開発、国際協力、農産物貿易、等。フードチェーンと食品安全性の確保、水産物のフードシステム、広島県のGAP普及、等について調査研究

    先生から届いた要旨です。
    2020年2月、ロシアによるウクライナ侵略をきっかけに、世界的に食料、石油を始めとする資源が異常な値上がりを続けています。食料やエネルギーを海外からの輸入に頼る国々では、物価が上昇して庶民の暮らしが圧迫されています。日本の食料自給率は約38%、円安がつづいて苦しさが増しています。
    私たちの食生活は海外との貿易、分業関係に支えられています。高次加工を施した冷凍食品は生活の利便性を高め、多種多様な食事メニューを楽しませてくれます。それも含めて食の海外依存の現実を知っていただきたいと思います。市民目線から食料の安全保障を考えましょう。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.09.20山尾先生 2023.09.20山尾先生

     

    広島リカレント学院(第四期)16回目 2023年9月13日(水)

    今回の講義は、「味噌を含む日本食のすばらしさを再認識する」というお話でした。
    ◎講師:広島大学名誉教授・広島大学客員教授 渡邊敦光先生
    ◎専門:発生生物学・実験病理学
    ◎経歴:原爆放射線医科学研究所 助手・講師・助教授・教授

    2013 年12 月、私たちが古くから親しんできた「和食」が、世界遺産ユネスコ無形文化遺産に登録された。温かい、素晴らしい香りのある味噌汁を飲むと、気持ちが和み、ホッとする。一日の初めに食べると元気が出る。味噌には日本人の知恵が込められ、さらに日本の風土と日本人の体質に合ったからこそ、長い間親しまれてきたのではないかと思う。
    味噌汁は御が三つ重なる「御御御汁(おみおつけ)」であり、日本人のソウルフードで、健康維持のためには忘れてはならない素晴らしい食材で、「健康食品」でもある。御の字が3個も並ぶ単語はこれ以外に見当たらない。

    (「将来の健康のためにご飯と味噌汁に戻ろう」より抜粋)
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.09.13渡邊先生 2023.09.13渡邊先生

     

    広島リカレント学院(第四期)15回目 2023年9月6日(水)

    今回の講義は、「西条龍王山、半尾川流域の地形学的・地質学的研究−複合地すべり地形、左横ずれ断層、龍王山」でした。
    広島大学名誉教授 沖村雄二先生

     

    ◎専門:地質学・古生物学
    ◎現在:公益財団法人仙石庭園 代表理事・登録博物館「仙石庭園庭石ミュージアム」副館長・学芸員
    ◎講義のポイント:東広島市西条は、日本3代銘酒(7酒造会社)の産地ですが、使用される地下水は中硬水で他の山地とは異なり、特種な銘酒です。しかし、地形的に集水域の山地は極めて狭く、しかも軟水ですあることから、中硬水になる理由も地下水量が確保できる理由が分かりませでした。近年、地質学的・地下水学的研究で明らかになった理由を解説します。

    広島文化学園大学学芸学部非常勤講師 竹野健次先生

    ◎専門:・環境科学、環境工学・環境教育
    ◎講義のポイント:日本三大酒処といわれる東広島市西条で20年以上水質調査した内容と、源流付近の軟水から日本酒の醸造に適する中硬水へと変化する西条の地下水の特徴についてご紹介します。

     

    以下、先生から届いた要旨です。
    要旨:東広島市西条市街地の北に聳える「龍王山」(575.1m)の南斜面は、その中央部を南流する「半尾川」の両岸山地であり、急傾斜の極めて狭い集水域しかない谷地形である。この谷地形には、折り重なる複数の地滑り地塊も認められる。しかも狭い谷の出口から急にひらけて規模の大きな「龍王山扇状地」が発達している−東西約2.5q・南北約2q。扇状地の扇頂部には、左横ずれの断層線条痕が明瞭な「龍王山断層」の垂直崖が露出し、幅20mを超す断層破砕帯を伴っている。扇状地の下位には、中期更新世の未固結「西条層」があり、基盤は不透水花崗岩である。扇状地の南縁部には、日本三大酒造地である西条酒蔵地帯があるが、その水源は古くから龍王山南麓地帯に由来する地下水であると考えられている。この地下水について、本研究では、酒蔵地帯の南に発達する花崗岩山地が地下水の水の南流を阻止しており、この地質現象が地下ダムの概念と基本的に同じであり、貯水‐涵養の条件を満たしていることを明らかにした。

     

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.09.06沖村先生 2023.09.06沖村先生2023.09.06沖村先生

     

    広島リカレント学院(第四期)14回目 2023年7月26日(水)

    ラジオ・パーソナリティー 山本三季雄 先生
    「生涯ラジオDJ物語」

    今回の講師は、ラジオのパーソナリティーとして活躍中の山本三季雄さん。かつては、広島エフエム放送で取締役を務めていたプレイングマネージャーでもありました。今も、フリーランスとして日曜日の朝、広島FMからさわやかな声でクラシック音楽の魅力を伝えてくれています。そんな山本さん、実は人前で話すのが大の苦手だったそうです。では何故と思うのですが、音楽が大好きで、音楽と共に仕事ができる事が喜びで長年この仕事が出来たそうです。高校時代、一枚2000円から3000円するLPレコード買いたさに、親から毎日お昼代として貰っていた300円の小遣いを、パンのみみだけで我慢して貯めて買い求めていたそうです。
    宗教音楽から始まった人類の音楽、やがてバロック、クラシックとして発展していき、さらに、譜面や蓄音機の発明によって、ヨーロッパからアメリカに広がり、そこにアフリカの黒人音楽が加わりブルース、ジャズといったポピュラーミュージックが生まれたそうです。ここに映像文化とコンピューターが加わり、個人ではなく、演奏家が自由にグループを作る、ロック等が誕生していったそうです。
    さて、今回の講義のメインテーマである「何故今、80年代のJ-POPが世界で注目を集めるようになったか」ですが、それは、今はやりのサブスクリプション、簡単にネットを通じて自由に色々な音楽がダウンロード出来て楽しめるようになったことだといいます。80年代のJ-POPが今や日本だけでなく、世界中の人々に聴かれるようになり、外国のミュージシャンがカバーしてそれがヒットしていく。インターネットの進化は、かつての譜面や蓄音機が果たした役割のように、いやそれ以上のスピードで、世界中に瞬時に垣根を越えて音楽を進化させているようです。
    山本さんは、最後に「音楽は人生を豊かにしてくれもの、サブスクなど利用できるものは何でも利用して、いい思い出を作ってください。」と講義を締めくくりました。(野崎賢治)
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.07.26山本先生 2023.07.26山本先生

     

    広島リカレント学院(第四期)13回目 2023年7月19日(水)

    広島大学名誉教授・文学博士 岡本 明 先生
    「両次大戦間の平和〜ドイツ篇〜」

    今回の講師は、広島大学名誉教授・文学博士 岡本 明 先生でした。
    先生から届いた要約です。
    「第一次世界大戦に敗北したドイツは、ヴェルサイユ条約で巨額の賠償金を課され、領土も大幅に割譲された。新しく誕生したヴァイマール共和国政府を担ったのは社会民主党を軸とする中道政権で、条約遵守に立った。けれども、官僚・司法界・国防軍には旧帝政期勢力が温存された。政権が軌道に乗ったのは1922年から29年迄で、以後は経済不振、失業の増大が、反ユダヤ主義・反ボルシェヴィズムを唱えるヒットラーのナチスを増大させ、かれらは1933年に独裁政権を築いて、条約を破棄し、近隣諸国合併と侵略に突き進んだ。S.クレーマー監督映画「ニュールンベルグ裁判」(1961年)は、ナチス戦犯裁判で戦争の責任を鋭く問うている。」
    戦争における敗戦と勝利、戦後体制が複雑に絡み合う中での平和維持の難しさ、そして次の戦争のきっかけになることが分かりました。ロシアのウクライナ侵攻が次につながらないこと心から願います。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    2023.07.19岡本先生 2023.07.19岡本先生

     

    広島リカレント学院(第四期)12回目 2023年7月12日(水)

    農学博士 保坂幸男 先生
    「穀物の話 収穫前・収穫後」

    今回の講師は、弁理士、特許事務所、企業顧問、公的機関技術委員長、大学他非常勤講師等を務めておられる保坂幸男先生でした。先生は、東京大学農学部農業工学科を卒業され、(株)サタケ 開発本部長、専務取締役、相談役他として、研究開発、商品開発、MOT(技術経営)、知的財産権、生物プロセス工学、生物機械工学、穀物科学などさまざまな分野に取り組まれました。
    今回の講義は、「穀物の収穫前、収穫後の技術事情,世界の3大穀物の生産状況、日本の食料安全保障等」についての概論的なお話でした。
    先生から届いた要約です。
    「パンやご飯で穀物は空気のような存在だが様々な研究開発が行われている。自動車の生産も穀物生産も本質は同じ。後者は自然環境の影響を受けて品質がばらつくが、生育中に生体情報を採って施肥設計でアジャストすれば目標品質へ誘導可能。収穫後には可食部を取り出す為に様々な技術が投入される。また、目視と同じレベルで不良品はロボットで除去される。穀物は、食味は落ちるが表皮ごと食べる方が健康には良い。日本の食料自給率はカロリーベースで35%。平時には良くても混乱時には問題。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    保坂先生 保坂先生

     

    広島リカレント学院(第四期)11回目 2023年7月5日(水)

    広島大学名誉教授・宇部MCC宇宙再生医療センター センター長・ウクライナ人道支援再生とリハビリプロジェクトリーダー
    弓削 類 先生
    「再生医療とウクライナ人道支援」

     

    今回の講師は、「再生医療」「ロボットリハビリテーション」がご専門の、弓削 類 先生でした。先生は、広島大学教授、University of California at Los Angeles (UCLA) 客員教授、全世界で6名のNASAケネディー宇宙センターの諮問委員会委員を歴任され、現在、宇部MCC宇宙再生医療センター センター長、及びウクライナ人道支援再生とリハビリプロジェクトリーダーを務めておられます。
    ロシアによるウクライナ侵攻により、兵士だけでなく一般市民、子どもたちにも多くの負傷者が出ています。先生は、「ウクライナ人道支援再生とリハビリプロジェク」の責任者として、NGO、広島大学などとその負傷者支援に取り組んでおられ、それについてお話をしていただきました。
    今回のプロジェクトは、ウクライナの負傷者が多く逃れた、ジョージアの医師団から依頼され、NGO「ピースボート災害支援センター(PVB)」(東京都)などが昨年12月から準備を開始しました。先生によると、ロシアの攻撃で頭部に外傷を負うなどして歩行困難となり、リハビリを必要とする人は、ウクライナに5万人以上いるとされ、子どもも多いということです。プロジェクトでは、弓削先生が開発に携わった、歩行補助装置「RE―Gait(リゲイト)」をジョージアの病院に届けます。同装置は、モーターが組み込まれた靴などを膝から下に装着すると、機械が自動で歩行を補助する仕組みで、リハビリに利用できます。事前に患者の歩行速度や歩幅などのデータを装置に入力することで、患者一人ひとりの回復具合に応じて、補助の力加減やタイミングが調整できます。また、傷ついた組織の修復を促す働きがあるとされる「間葉系幹細胞」を冷凍で輸送し、患者に細胞を移植する再生医療も並行して実施する計画です。リハビリと再生医療を組み合わせることで、患者の回復を早める狙いがあり、国内では車椅子の患者が1年半後に走ることができるようになった事例もあるということです。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    弓削先生 弓削先生

     

    広島リカレント学院(第四期)10回目 2023年6月28日(水)

    映画コメンテイター 三浦ひろみさん
    「映画の楽しみ」

     

    今回の講師は、映画コメンテイターとして広島で活躍している三浦ひろみさん。もともとは声優志望で、いろいろな声を出すのが得意なことから、広島テレビのキャラクター「ピッピ」の声なども担当されています。若い時から映画が大好きだった三浦さんは、自分のコレクションである過去の名作を次々に紹介しながら、主演俳優の役割や裏話を披露してくれます。
    1953年に上映された「ローマの休日」では、この作品でアカデミー主演女優賞を受賞したオードリー・ヘプバーンの演技について、名シーンを見ながら裏話が披露され、早くも生徒達を銀幕の世界に誘っていました。
    次に登場したチャールズ・チャップリンの「街の灯」「モダン・タイムス」「独裁者」では、サイレント映画の魅力とチャップリンの演技のすばらしさが、具体的なシーンと共に紹介され、さらには、チャップリン自ら作曲したというテーマ音楽「ライムライト」が流されると、懐かしいサウンドトラック音楽の魅力を満喫させてくれました。
    「メリーポピンズ」で一躍有名になった、ジュリーアンドリュースの隠れたエピソードとして興味深かったのは、オードリー・ヘプバーン主演で名作として知られる「マイ・フェア・レディ」のエピソード。「マイ・フェア・レディ」の舞台では、歌唱力のあるジュリーアンドリュースが主演を務めていました。しかしこれが映画化になった時、人気が高かったオードリー・ヘプバーンに主役の座は持っていかれたのでした。しかし、ジュリーの舞台での評判が大変良かったためディズニーから「メリーポピンズ」の映画の話が舞い込み、見事、ジュリーアンドリュースは、この映画でアカデミー主演女優賞を獲得したのでした。そして、あの不朽の名作である「サウンドオブミュージック」につながるのです。
    このほか、ヒッチコック映画の魅力から、この作品で活躍し後にモナコ王妃になった、グレース・ケリーの美しさの秘密などが映像とともに紹介されるなど、懐かしい映画の名作シーンと共にアッという間の90分が過ぎていきました。(野崎賢治)

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    三浦ひろみ 三浦ひろみ

     

    広島リカレント学院(第四期)9回目 2023年6月21日(水)

    広島大学名誉教授 青木孝夫 先生
    「美人の美学と文化変容 〜変身・装い・化粧・演技〜」

    今回の講師は、美学芸術学ご専門 広島大学名誉教授の青木孝夫さん。大正時代の小説家 芥川龍之介の言葉である「芸術も女も同じことである。最も美しく見えるためには、時代の精神的雰囲気或いは流行に包まれなければならぬ。」を、持論で講義されました。
    日本人の女性美の意識が大きく変わるのは、西洋文化が入り込んだ明治時代から。衣食住の食を除いて大きく西洋化されていきました。江戸時代まで日本人女性は着物でメリハリを隠し、きっちりと着物を着こなせる女性が美しいとされていましたが、ここに肉感的な女性、すなわち身体全体で評価される女性美という意識が入り込んでくるのです。「旧来の美人は、細い体型を理想にしすぎている。これではだめだ。不健康になりやすく、短命におわりやすい。顔はどうでもいい。身体が健康的なものこそ美人とよぶことにしよう。」こういった意識から『衛生美人』という構想が日本に生まれます。「鼻はアグラをかいていていもかまわない、健康的な女を嫁にしろ、そうすることによって、世間の美人感もやがては変わっていく。」というもの。当時、農家では嫁が明らかに労働力であったから、こういった構想は歓迎されたのかもしれません。しかし、商家、上流階級の美人妻への執着は強く、衛生美人が新時代の美人にはなりえませんでした。
    美・善・義これらの文字に共通してあるのが羊の文字。例えば、善の字の口の部分はテーブルを意味し、テーブルの上に丸々太った羊を差し出すことが善なのであるというのが、一般的な善の意味だといいます。しかし、ここで青木名誉教授の見解が入ります。丸々太った羊そのものが善なのではなく、その丸々太った大切な羊を差し出す意識こそが、善なのだと。この意識の影響力がこの日の講義の重要なポイントなのだと。
    明治時代以降、西洋文化は衣服や食事において、日本人の意識におおきく影響し変化させました。しかし、美の意識についてはそう単純なものではなかったと青木名誉教授は言います。かつて、『日本人の女性の美は、髪の美しさであったり、醸し出される情緒であったり、着物をまとった全体の美しさ』であった。そういった、日本独自の文化は、西洋文化の影響を受けながらも、日本人女性の美の意識には完全には左右されず、今も独自の美の意識を持ち続けているのだと。(野崎賢治)

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    青木先生 青木先生

     

    広島リカレント学院(第四期)8回目 2023年6月14日(水)

    「世界集落を追って」 広島大学名誉教授 難波平人 先生

    今回の講師は、二紀会理事で広島大学名誉教授の難波平人さん。一貫して国内外の集落・遺跡などの世界集落を描くことで独自の作品世界を作り上げてきた画家で、広島文化賞を始め数々の賞を受賞されています。山口県熊毛郡上関町の長島や祝島の風景のなかで生まれ育った難波さんは、学生時代から25年間、画家の原風景である海岸線の集落を題材に日本全国を訪ね歩き、その後35年あまりにわたって世界の集落・遺跡を求め100か国以上を取材してきました。今回の講義では、学生時代の郷里を描いた作品から、欧州、アフリカ、アジア、中南米など国内外の集落や遺跡を描いた迫力ある大作、また取材時のスケッチや写真などの関連資料も併せて紹介されました。
    難波さんの作品は、厳しい環境の中を耐え抜き今も存在する建物が描かれていますが、模写では決して許されない魂が宿っています。それは、難波さん自身が海のすぐそばで育ち、強い風にあおられ、白いしぶきをあげて迫ってくる荒波を、毎日見続けていたからだといいます。難波さんは、「何でこんな画を描くのですか」と言われるそうですが、自身がゾクゾクしないと描けないそうです。そして、自分が感動したものをぶつけるのだといいます。だから、強さを感じる建物に惹かれるのだと言います。すでに80歳を超えられている難波さんは、この日、アルジェリアで自ら買い求めた民族衣装を身に纏い、終始穏やかな表情で話されましたが、芸術家としての魂を講義の中でもぶつけられ、その魅力と迫力に生徒全員が圧倒されていました。(野崎賢治)

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    難波先生 難波先生

     

    広島リカレント学院(第四期)7回目 2023年6月7日(水)

    「わたしの国際交流体験―異文化とふれあい」 広島大学名誉教授 谷本能文 先生

    1978-1980年米国ニューヨークのコロンビア大学に留学したのを皮切りに、十数か国を訪問、数か国の研究者と共同研究を行った。ここではアメリカでの体験についてお話しする。
    コロンビア大学のすぐ近所に、巨大な大聖堂がある。建設は1892年に開始され、いまだ未完成。St. John unfinishedと呼ばれているそうだ。120年以上建設途上なのである。100年もすればたいていの建物が朽ちてしまう日本ではとても考えられないタイムスケールである。万物は永遠に存在するという西欧・アメリカの“石の文化”に対し、朽ちていく・自然は時々刻々と変化していくという“木の文化”が日本の文化である。ヨーロッパ人と日本人でものの見方・考え方が違うのは、当然のことだと思った。異なった環境で育った人たちを理解するためには、そこを訪れて、できれば生活し、その体験を通してなぜそういう考えに至ったのかと考えることが、相手を理解する上で大切であると思う。(谷本能文)

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    谷本先生 谷本先生

     

    広島リカレント学院(第四期)6回目 2023年5月31日(水)

    「カープと生きいき人生」 講師 渡辺弘基さん

    今回の講師はプロ野球解説やタレントとしても活躍中のカープOB渡辺弘基さん。1972年ドラフト1位で阪急ブレーブスに入団、1975年カープに移籍して中継ぎ投手として大活躍、カープ初優勝に貢献した元エリート投手です。テレビ番組の司会も経験されているだけあって軽妙なトークに、会場は終始笑いに包まれていました。
    気になるカープ今シーズンの行方については、始まったばかりのセパ交流戦で、イーブンの成績を残せば優勝の可能性があるとズバリ。逆に、大きく負け越せば可能性はないと予想されました。優勝のカギを握るのは投手陣のようで、矢崎投手とコルニエル投手について気になる発言がありました。この2人に共通して言えることはピンチになると力みすぎるそうです。バッターは相手ピッチャーの腕の振りに合わせてタイミングをとるので、同じ腕の振りでスピードが落ちるチェンジアップを覚えて緩急をつけられるようになったら、もっと投球の幅が増えるのにと残念がっておられました。又、ターリー投手については、いつも息が荒くてハーハーいっている。いいピッチャーになるためには、ポーカーフェイスが大切で、座禅をして呼吸の仕方を覚えたらいいかもしれないとアドバイスされていました。生徒側から本人に「教えてあげればいいのに」という問いかけには、「外部の者がアドバイスをするのは難しいのですよ」と、こちらは暗黙のルールがあるようでした。
    また、野球選手は職人であり、高い技術力がものをいう職業であるが、一流の選手になるためには運も大切な要素というお話がありました。166センチの小柄な元ヤクルトの若松選手は、当時コーチであった中西太さん。元巨人の王選手は、当時の荒川コーチとの出会いがなければ、あれほどの大物選手にはならなかったであろうという興味深いエピソードが話されました。運を味方につける事も大切で、いつも明るくて前向きな人が運を引き込むそうです。
    最後に、『淡々と過ごす毎日が大切。常日ごろに幸せがいっぱいある。妻にはありがとうと、あえて言葉に出して言おう』と、人生教訓、夫婦円満の秘訣で話が締めくくられました。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    渡辺先生 渡辺先生

     

    広島リカレント学院(第四期)5回目 2023年5月24日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授 金田晉先生(美学)による『絵を読む−ピカソ「アヴィニョンの娘たち」−』でした。
    先生から届いた講義の要約です。
    「今年はピカソの没後50年。生涯14万点以上の作品を残し、最多作作家として知られるが、それらの中で「20世紀のもっとも重要な芸術作品」と評価の高い「アヴィニョンの娘たち」(1907年制作)を取り上げ、90分かけて「読んだ」。
    アヴィニョンはフランス人にとって多くの中世の遺跡をのこす美しいのどかな南仏の観光地であるが、スペイン人にはバルセロナの売春宿通りの名前である。その落差へのこだわりが出発点であった。米西戦争(1898年)でスペイン帝国は新興のアメリカ「帝国」に敗退する。国民経済は混乱し、上中流家庭の女性たちまでが娼婦に身を落さねばならなかった。それへの義憤が基点。
    構想の基調に、エル・グレコの「黙示録第五の封印」がある。また構図の基礎にベラスケス不朽の名作「ラスメニナス」がある。さらに5人の女性のポーズや背景をスペイン美術史の巨匠たちの作品と対照させながら、論をすすめた。
    スペイン敗退後、その再生を願う「98年世代」とよばれる知識人たちの運動があった。ピカソはこの作品でかれらの戦列に加わろうとしたのであった。」

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    金田先生 金田先生

     

    広島リカレント学院(第四期)4回目 2023年5月10日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授 安藤忠男先生による「SDGs各論@ 貧困・飢餓・病気からの解放」でした。
    先生から届いた講義の要約です。
    「貧困、飢餓、病気からの解放は国連創設以来の重要課題であり、多大の努力にもかかわらず解決できていない。現在、衣食住薬などの生活必需品に事欠く人口は世界人口の約1割に達する。日本でも生活保護受給者は200万人以上である。貧困や栄養不良は特に高齢者や児童にしわ寄せが来る。公的組織の努力や支援に頼るだけでは不十分で、市民自らが貧困や栄養不良に陥らないように若いうちから努力する必要がある。筆者らの自助努力の一端も紹介した。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    安藤先生 安藤先生

     

    広島リカレント学院(第四期)3回目 2023年4月26日(水)

    教養講座は、広島大学マスターズ・大阪大学名誉教授 室岡義勝先生による「科学を信じない人々」でした。
    今回の講師は、室岡義勝 大阪大学名誉教授。科学専門の立場から、世の中に溢れる疑問の数々をわかりやすく説明して頂きました。まずは、新型コロナウイルスワクチンについて。急激な流行により、これまで活躍していた弱毒化させたウイルスのワクチン投与では間に合わなくなったため、RNAワクチンが開発され、結果、流行を抑えることが出来たが、これまでのワクチンのように永続性がないため、変異したウイルス株には効果が薄く、流行すれば又、投与する必要があるとのこと。地球温暖化について、地球誕生から過去のデータを調べると、明らかに二酸化炭素の排出量で気温が上昇しており、特に産業革命以降に顕著になっている。遺伝子組み換え作物の安全性については、科学的に安全であることが立証されており、不安を持つ必要はなく、害虫にも強い作物などが誕生するなど、我々の食生活に大きく寄与していると言及されました。一方で、放射線以外にも有害な化学物質が、世の中にはたくさんあり、科学者は今も経済優先の経営者と闘っていることを強調されました。最後に、「人間は過去の間違いを認め、共感力と科学技術を賢く使う方策を立てるべきではないか」と、巷に流れる科学を信じない人々への警鐘を鳴らしました。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    室岡先生 室岡先生

     

    広島リカレント学院(第四期)2回目 2023年4月19日(水)

    教養講座は、株式会社サンフレッチェ広島 代表取締役社長 仙田信吾さんによる「ルヴァンカップ優勝」でした。
    今回の講師はJリーグ「サンフレッチェ広島」社長の仙田信吾さん。仙田さんは、元民放テレビ局でバリバリの営業マンとして活躍されていただけに、興味あるトークで終始会場を沸かせました。まずは元サンフレッチェ監督でワールドカップ日本代表を率いた森保監督とのメールのやりとりでの秘話について…。仙田さん曰く、森保さんはとてもマメで律儀な方、ワールドカップ時のメールも50行の長文で返信してくれたということでした。「ただ論理のない根性論が多い」と会場の笑いを誘っていました。続いて現監督のスキッペ監督については、リーダーシップがとても上手に取れる人で、仙田さんは早くから目をつけていたということです。試合途中で選手交代をさせてしまった選手については、翌日、休日を返上して自ら練習場に出向いて、マンツーマンでフォローする姿を何度も目撃したそうです。
    もちろん、社長という立場での経営と将来のビジョンについても、エネルギッシュに話されました。チームを強くするためには、有力な外国人選手が必要で、収支とにらめっこしながら、経営の難しさを痛感しているといいます。現スタジアムの駐車場問題などについても悩まれているようでした。しかし、来年、完成予定の新スタジアムについては一転、希望に溢れた表情になり、大型スクリーンが2台設置され、特にホームチームであるサンフレッチェ側のスクリーンは、相手チームよりも大型のスクリーンで、間近で選手のプレイが見られるということ。新スタジアムに設置される飲食店、ショップは、試合のない日もオープンする予定で、多くの市民の憩いの場として提供されると約束されました。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    仙田社長 仙田社長

     

    広島リカレント学院第4期始業式(入学式)及び第4期1回目の授業2023年4月12日(水)

    広島リカレント学院第4期が始まりました。始業式(入学式)では、牟田泰三学院長が挨拶されました。牟田学院長の元気な姿にみなさん、大変よろこんでおられました。
    牟田先生 牟田先生

     

    第1回目の授業は、福山市立大学学長(前広島大学理事・副学長)の佐藤利行先生による「中国古典に学ぶ−韓非子の思想−」でした。
    佐藤先生の講義の要約です。
    〇韓非−戦国時代、韓の公子、李斯とともに荀子に学ぶ。韓非は荀子の説く「礼」を「法」に置き換え、戦乱の時代は仁義礼智によって治めること(徳治主義)はできないとし、厳しい「法」を施行して国を治めるべきであるとして、「法治主義」を唱えた。秦の始皇帝は韓非を任用し、その思想は天下統一の指針となったが、韓非の才能を妬む友人の李斯に毒殺されてしまう。李斯を宰相とした秦も、あまりに苛酷な法治に対する民衆の反感のために、わずか二十年たらずで滅亡する。
    〇刑名一致−職として定められた職務を遂行しなければ、法に照らして罰する。
    〇信賞必罰−賞するべきは必ず褒め、罰するべきは必ず罰する。
    ●履(くつ)を置(か)わんとして度(ど)を忘(わす)る(『韓非子』外儲説)
    ある人が履物を買うために足の寸法を測っていたが、その寸法書きを忘れてしまった。そこでその人はどうしたのであろうか?
    ●不死の薬(『韓非子』説(ぜい)林(りん)篇上)
    王に献上された「不死の薬」を飲んでしまい、あやうく死刑になろうとした話である。漢字の「可」(べし)には、〜できる(可能)、〜してもよい(許諾)の意味が含まれている。
    ●矛(む)盾(じゆん)(『韓非子』難一篇)
    あることについて、一方では肯定し、それと同時に他方では否定するといったことを「矛盾」というが、これは次に挙げる『韓非子』難(なん)一(いつ)篇の中の一節から出た言葉である。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    佐藤先生 佐藤先生

     

    広島リカレント学院生の皆様へ

    広島リカレント学院第4期始業式(入学式)のお知らせ

    時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
    早速ですが、4月12日(水)に予定しております第4期の始業式(入学式)のお知らせです。第4期から教室が変更となりますので、お間違えのないようよろしくお願いいたします。

     

    【始業式】(入学式)と各講座など4月12日(水)の予定です

    • 午前 9時00分〜 受付開始(未来創生センター向かいの新しい建物の一階に)
    • 午前 9時45分〜 入学式・始業式(A棟501)
    • 午前10時15分〜午前11時45分 教養講座(同上)
    • 午後12時〜    昼休憩(昼食は各自で)
    • 午後13時〜    専門講座(受付でご案内いたします。)

    お問い合せ/広島リカレント学院 事務局 近藤まで
    携帯電話090−2869−4799

     

    2023年3月29日(水)広島リカレント学院 第3期修了式

    2023年3月29日(水)、広島リカレント学院 第3期修了式がありました。牟田泰三学院長に代わり、渡部和彦先生の祝辞の後、学生のみなさんに終了証が渡されました。第4期は、2023年4月12日から始まります。
    第三期修了式第三期修了式

     

    第三期修了式第三期修了式

     

    第三期修了式

     

     

    広島リカレント学院(第三期) 40回目 2023年3月29日(水)

    教養講座は今岡光範先生(広島大学名誉教授)による「数学による多様な図形認識について (パート3)曲線に関して」でした。
    先生から届いた概要です。
    この講座では、数学で考える曲線が、いろいろな形で人々の感性を豊かにし、様々な発想を可能にし、幅広く活用されていることを、具体例を通して考察した。§1では円錐曲線の特性を中心に、それが太陽系の飛来物の軌道を見事に表していることなどの有用性を考えた。§2ではいくつかの面白い特徴をもつ曲線にふれ、その実際の使用例を紹介した。§3では、§1で行った演習を参考にして、曲線群とその包絡線という考えの面白さと有用性を示し、それらの種々の応用を考えた。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    今岡先生 今岡先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 39回目 2023年3月22日(水)

    教養講座は鳥谷部茂先生(広島大学名誉教授)による「災害弱者への支援」でした。
    先生から届いた概要です。
    3月22日(水)10時から「災害弱者への支援」と題する講座が実施された。牟田学院長のご挨拶のあと、災害被災者(災害時要支援者)の意義、災害の前後の避難等への対応(連携の必要性)、被災者の居住(仮設住宅・災害復興住宅・借上げ住宅)での支援、災害関連死・孤独死への対応、東日本大震災から南海トラフ巨大地震等への教訓等について、パワーポイントを中心に、新聞の切抜き、広島法学執筆論文等の資料を参照しながら、被災地及び災害弱者の現状・対応の諸課題を説明した。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    鳥谷部先生 鳥谷部先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 38回目 2023年3月15日(水)

    教養講座は牟田泰三先生(元広島大学長)による「文字はどのようにして生まれたのだろう」でした。牟田先生から届いた要約です。
    ヨーロッパ系の言葉でも、日本語でも、話し言葉から絵文字が生まれ、絵文字は表意文字として発展し、話し言葉の音を表す表音文字へと進化してきました。日本語の場合は、漢字の助けを借りながら万葉仮名が生まれ、片仮名や平仮名として進化し、五十音図が完成しました。講義で使用したパワーポイントファイルを下記ホームページにアップロードしましたので、興味のある方はご覧になって下さい。
    https://home.hiroshima-u.ac.jp/mutata/

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    牟田先生 牟田先生

     

    第4期 広島リカレント学院 学生募集中  4/12スタート

    広島大学名誉教授や各界のスペシャリストが特別講座を!!
    どなたでもご入学頂けます。
    2023年4月12日スタート
    お問い合わせ・お申し込み

    入学願書をお送りいたしますので、まずは事務局にお問い合わせください。
    事務局/〒730-0026 広島市中区田中町5番12号(株式会社総合広告社内)
    TEL 082-555-0520 FAX 082-207-0548(担当 近藤)
    mail office@hra-web.com
    第4期募集 第4期募集

     

     

     

    広島リカレント学院(第三期) 37回目 2023年3月8日(水)

    教養講座は渡部和彦先生(広島大学名誉教授)による「第15次南極観測越冬隊:自然・生活・研究」でした。以下、先生の講義の要約です。
    「第15次日本南極地域観測隊は、独立の研究拠点「国立極地研究所」がスタート後、最初の観測隊で、隊長、越冬隊長、他極地等の経験豊かな人材が充てられ、私は、越冬隊の一員として参加。当時、我国は、「環境汚染対策」が重要な研究課題でした。ペンギンの羽から、重金属検出 のニュースもありました。大気汚染、南極オゾン層の破壊、工業用水の汚染など世界的大問題でした。「環境科学棟」が15 次隊で、昭和基地に建設され、「環境モニタリング基地」として位置づけられ、医学、生物学、地球化学、化学の共同研究が行われました。現在、注目されている「地球温暖化」・「CO2 )」・「氷河崩壊」の研究は、15次隊が深く 関係しています。最近の調査研究と15次の研究との関連を紹介します(最新情報:極地研訪問報告)。あわせて基地での食事、風呂、娯楽、スポーツ、楽しみ、オーロラ見放題など「生活裏話」を紹介します。住めば都といいますが、「昭和基地はいつまでも居たい天国?」でした。南極越冬生活で「つらい時こそ、遊び心を」「スポーツ・文化・芸術の力」「一人じゃ出来ない大仕事(チーム力)」「健康体操のヒント(足裏感覚を大切に)」、「ダイナミック・ストレッチング」は−大きく・ゆっくり・等速で−など多くのことを学びました。」
    先生は、「南極OB会誌」に広島リカレント学院のことを紹介され、PRしていただきました。ありがとうございました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)

     

    渡部先生渡部先生
    渡部先生渡部先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期) 36回目 2023年3月1日(水)

    教養講座は田中久男先生(広島大学文学研究科名誉教授)による「地方色から見るとアメリカがもっとおもしろい」でした。
    田中先生から届いた要旨です。
    「アメリカ合衆国は、13の植民地(独立州)を母体としてイギリスから独立しましたから、現在でも、各地域の地方色(ローカルカラー)を強く保持しています。それがアメリカの多様性を生み出し、活力源ともなっています。ボストンを中心としたニューイングランド地方は、勤勉と節約をモットーとする清教徒の伝統が強く残っていて、そのシンボルが、福澤諭吉にも影響を与えたベンジャミン・フランクリンです。そうした英雄を輩出した栄光の地ですが、セーレムの魔女裁判(1692年)の悲劇はアメリカ史の暗部です。ニューオーリンズという大都市をかかえたルイジアナ州には、フランスの血を引き継いでいるクレオールという独特の文化が健在です。アメリカの大動脈であるミシシッピ川周辺は竜巻の温床ですが、かつては砂嵐地帯として大きな被害をもたらしました。スタインベックの『怒りの葡萄』という映画になった小説は、オクラホマ州の農民が主役です。映画の聖地と呼ばれるロサンゼルスのハリウッドは、アメリカの民主主義的価値観や生活様式を世界に発信する、合衆国が誇る強力なソフトパワーです。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)

     

    田中先生 田中先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 35回目 2023年2月22日(水)

    健康寿命を延ばすために…日々の生活を見直そう

    今回の講師は広島伝統生薬研究会会長の寺本裕さん。寺本さんは、現在カウンセリング薬局を経営され、日々漢方を中心に患者さんの視点に立って相談にのっておられます。寺本さんの健康の秘訣、まずは十分な睡眠をとること。夜の11時から朝の5時までは布団の中にいるのが大切だといいます。前半の3時間で蓄積された疲れが取り除かれ、後半の3時間で新たなエネルギーが蓄えられるからだそうです。さらに夜寝る前の5分間は楽しいことを考えて眠りにつき、朝の目覚めで、太陽を浴びて感謝するというメンタル面の大切さも強調されていました。
    ここからが食に関する本題です。起きてすぐの深い深呼吸、そしてコップ一杯の水分補給、これが大切だそうです。ここで気を付けることは、水の量ではなく水の温度、体温よりやや高めの37度ぐらいの白湯がいいといいます。冷たい水は体内では温度を上げないと吸収されないそうで、そのため余分なエネルギーがかかり、疲れやすくなるからだといいます。健康の秘訣は、血流を良くすることだと寺本さんは言います。体を温める必要があるときは、土に埋まっている根菜類を食べると良いそうです。土より上で育つ野菜や果物は、体を冷やす効果あるため、バナナのように高い木で育つ果物は、より体を冷やす効果が強いため、オーブン等で温めて食すると体に優しくなり、又見た目は黒くなりますが、味はまろやかで美味しくなるそうです。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    寺本先生 寺本先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 34回目 2023年2月15日(水)

    教養講座は原野 昇先生(広島大学元教授)による「フランス語の起こり」でした。「フランス語がどのようにして出来上がったのかを見ることは、フランスの歴史、ひいては西ヨーロッパの歴史を知ることに繋がる」というお話でした。
    原野先生から届いた要旨です。

    1. 民族からみたら、現在のフランスの地には、「ケルト人―ローマ人―ゲルマン人」が相次いで入ってきて、それらが混淆した。
    2. 言語からみたら、ケルト人の話していたケルト語は、入ってきたローマ人のラテン語にとって代わられた。
    3. その後入ってきたゲルマン人は、自分たちのゲルマン語を放棄して、被征服者の話していた言語(ラテン語がくずれたロマン語)を話すようになった。
    4. ラテン語は文語と口語の差が大きくなり、2でケルト語の影響を受けたり、3でゲルマン語の影響を受けたりして、元のラテン語(=紀元前後を中心とする古典ラテン語)とはまったく別の言語と言ってもよい言語状態となった。これがフランス語の始まり。
    5. 同様にラテン語がくずれて別の言語となったものとして、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語などがあり、それらはロマン諸語(またはロマンス諸語)と呼ばれる。


    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    原野先生 原野先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 33回目 2023年2月8日(水)

    教養講座は高田忠彦先生(広島大学元教授)による「産学連携の話」でした。
    高田先生から届いた要旨です。
    「1990年初頭の我が国のバブル経済崩壊後、国内の長期不況が続いています。この状況を打破するための方策の一つとして、「大学や研究機関等において生み出される技術やノウハウ(知的財産)を民間企業において産業化へ結びつける営み」と定義される産学連携が注目されています。大学は知的財産である研究成果や特許などを多く有していますので、これらを積極的に活用し、社会貢献し、一方、企業は大学の知的財産を新商品や新技術に結びつけ、経済活性化を狙うという目的が産学連携活動にあります。
    このように産学連携が加速し始めた背景は、国立大学が法人化され、産学連携を通して、外部資金を獲得し、自立化を図っていかなければならないという大きな目的もあります。
    2000年以降、国の支援もあり、産学連携活動は加速されてきましたが、必ずしもその成果が十分に発揮されているとは言い難いのが現状であります。更なる進展が期待されています。
    本日の講義では、産学連携の推移、大学や企業の状況について、特に外部部資金の獲得状況(共同研究、特許移転など)、更には、産学連携の一つと考えられている大学発ベンチャービジネスの設立状況などについてご紹介します。併せて、今後の産学連携活動の進め方にも触れたいと思います。大学の第3の使命である社会貢献の一つとして、産学連携の重要性をご理解いただければ幸いです。」

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    高田先生 高田先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 32回目 2023年2月1日(水)

    教養講座は平木秀作先生(広島大学名誉教授)による「経営工学四方山話−科学的経営管理について」でした。43年余で歴史の幕を閉じた「広大経工会」の設立から解散までの経緯を辿り、経営工学の目標をトヨタ生産システムを例にしてお話でした。
    平木先生から届いた要旨です。
    「平成27年(2015)11月21日に開催された「さよなら記念碑除幕式」(於:広島大学東広島キャンパス)と「さよなら記念総会」(於:広島市内RRホテル)の「解散宣言」で、43年余の歴史の幕を閉じた会員数2000名余の同窓会組織「広大経工会」の、設立から解散に至るまでの経緯を、横の絆(同期生)と縦の絆(同窓生)がどのようにして固く結ばれ、その絆がどのようにして綻びてきたかを辿りながら説明します。また、工業経営学・経営工学が目指した「新しい管理技術の設計・開発」の顕著な成功例としてトヨタ生産システムを例示し、その柱となるJIT生産システムのカンバン方式の仕組みを説明します。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    平木先生平木先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 31回目 2023年1月25日(水)

    教養講座は山崎 雄先生(広島大学 脳神経内科学講師)による「認知症対策」でした。進行した認知症の治癒は現代の医学では望めないということで、予防、早期治療に関する取り組みを紹介していただきました。
    山崎先生から届いた要旨です。
    「認知症とは、@正常に発達した認知機能が、A長期に持続的に低下し、B記憶障害を含む複数の認知機能障害をきたした結果、C社会的または職業上の障害が生じ以前の機能水準から明らかに低下した状態を指します。社会高齢化にともない、認知症の人は今後も増加を続けると予測され、その対策をさらに推進すべく2019年認知症大綱が策定されました。対策の両輪は「予防」と「共生」であり、本講義ではその両輪の一つである「認知症予防」について最新の知見を交えて紹介しました。具体的には認知症を起こす代表的な病気について紹介したあと、どのようなライフスタイルが認知症予防に有効かについて議論し、早期発見・早期治療にかかわる最新の研究動向についてご紹介しました。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    山崎先生 山崎先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 30回目 2023年1月18日(水)

    教養講座は相田美砂子先生(広島大学名誉教授)による「ジェンダーギャップ指数とは」でした。
    相田先生から届いた要旨です。
    「世界の国々における男女格差を示す指数は幾つかあります。その中で、ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index =GGGI)は、世界経済フォーラムが2006年から毎年公表しているものです。このGGGIでは、4つの分野(政治、経済、教育、健康)と、分野毎に幾つかの項目があり、計14項目が設定されています。それぞれの項目について、(女性の数字)÷(男性の数字)が計算されます。つまり、男女の格差が無ければ指数は1に、格差が大きければ0に近づきます。
    GGGI(2022)では、日本の指数は0.650であり、146か国中116位でした。数字や順位だけに注目するのではなく、算出に使用されている項目を知ることが重要です。また、算出に必要な様々なデータが世界の国々において収集・集積されている、ということにも注目すべきです。データが正確であることが、根源的に重要です。」

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    相田先生 相田先生

     

    健康のための音読教室(専門講座・授業風景)

    講師: 野崎賢治先生(元広島ホームテレビ アナウンサー)

    腹式呼吸でお腹から声を出した後は、みんな揃って「あ・え・い・う・え・お・あ・お」と大きな声で滑舌の練習から始まります。この日は音読で大切な、緩急強弱のつけ方と間の取り方について学びました。実践では、準備された「宮本武蔵」のテキストを一人ずつ、声を出して朗読していきました。又、今年最後の授業となったこの日は、この一年を振り返り、自分自身の重大ニュースを一人ずつ発表していきました。『お腹から声を出すこと・大きく口を開けてはっきり話すこと・頭の回転をよくすること』。健康のための音読教室は、この三つを大切にしているそうです。和気あいあいとした中で行われた授業は笑いが絶えず、皆な楽しそうに、この後も音読に挑戦していました。
    野崎先生 野崎先生
    野崎先生 野崎先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 29回目 2023年1月11日(水)

    教養講座は植木研介先生(広島大学名誉教授)による「英国19世紀は小説の世紀−デフォーからディケンズへー」でした。
    植木先生から届いた要旨です。
    「英国の文学史では、『英国の19世紀は小説の世紀』という言葉が使われます。その理由を、社会的要因と作家ディケンズの小説出版の工夫という2つの要因から考察しました。社会的要因としては英国が多くの植民地を獲得し(植民地にされた側からは酷い迷惑ですが)、また産業革命と呼ばれる状況が現れます(これも今日の地球から見れば苦しみの始まりでした)。これらによって英国は豊かになっていきます。経済的豊かさは教育の充実をもたらし男女を問わず、読み書き能力が大きく伸びてゆきました。特に女性の場合、新しい読者層、マーケットを形成することになります。そこに、ディケンズは小説発表を20回に分けて月ごとに出版する工夫をし、高価な小説本なので貸本屋に依存していた読者を、安く購入させる方法を思いつくのです。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    植木先生 植木先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 28回目 2022年12月21日(水)

    教養講座は於保幸正先生(広島大学名誉教授)による「環境変化と生物の進化」でした。
    於保先生から届いた要旨です。
    「地球形成当初,大気中には窒素、二酸化炭素,水蒸気があり,現在のように酸素はなかった。生物は酸素が無い還元状態の中で生きていたものと考えられる。シアノバクテリアが光合成を開始すると、大気中や海水中には酸素が増加し始め、生物は原核生物から真核生物、多細胞生物へと進化していった。二酸化炭素は温室効果ガスであるが、酸素が増えると地球は冷えて氷期を迎えることがある。そのことが生物の大量絶滅に繋がる場合もあった。また、隕石の衝突や大量の洪水玄武岩の噴出によっても地球環境は大きな変化を遂げた。中生代に繁栄していた爬虫類に変わり、新生代は哺乳類の時代となる。約700万年前には類人猿と別れた猿人が出現し、約20万年前にはホモ・サピエンスが現れることになる。ホモ・サピエンスはこれまでの生物とは異なり、生物学的な進化だけではなく、文化的な面でも進化をすることになる。これらの経緯について講義する。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    於保先生 於保先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 27回目 2022年12月14日(水)

    教養講座は安東善博先生(元 中国新聞記者・中国放送代表取締役社長)による「広島の平和活動」メモでした。
    今回の講師は元RCC中国放送社長の安東善博さん。学生時代はテニス部に所属していたスポーツマンで、現在も中国テニス協会の会長を務めていらっしゃいます。冒頭、岸田政権の防衛費アップ問題に触れられた安東さんは、「世界情勢を見ながら、常に新しいことを考えなければならない。こういう状況に行きつつあることも知らなければならない。」と語りました。高校の先生になりたかったという安東さんはなぜか、中国新聞社に入社。最初に配属された警察記者クラブで名刺交換をしたときに、ほとんどの警察官が顔見知りであったのには驚いたといいます。実は安東さんは学生時代、学生運動で大活躍されていたのでした。ただ、その人脈のお陰で取材活動に大いに役に立ったと話し、笑いを誘いました。その後、市政記者としても活躍、今回の講義のテーマである「広島の平和活動」を自分の取材メモを見ながらお話してくださいました。まもなく80歳を迎える安東さんですが、今も好奇心だらけだといいます。『良い記事はよい質問から生まれる。良い質問は生きた好奇心から生まれる』と、心に残った言葉を紹介され、「これからも、不思議だなと思う心、何でも見てやろうという気落ちを大切にしたい。」と、さらなる意欲を見せてくれました。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    安東先生安東先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 26回目 2022年12月7日(水)

    教養講座は岩崎文人先生(広島大学名誉教授・ふくやま文学館館長)による「本格ミステリー作家島田荘司」でした。
    岩崎先生から届いた講義のポイントです。
    本格ミステリー作家のうち現在もミステリー、評論(死刑問題・環境問題等)と幅広い活躍をするとともに、新人育成にも尽力している福山市出身の作家島田荘司のミステリー文学の特色と、戦後推理小説の中での史的位置を松本清張などの社会派ミステリーとの比較を通して考察していきます。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    岩崎文人先生 岩崎文人先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 25回目 2022年11月30日(水)

    教養講座は伊藤詔子先生(広島大学名誉教授)による「オバマのヒロシマ・スピーチー〜ヒロシマ・ナラティヴと千羽鶴のナラティヴの歴史の中で〜」でした。
    伊藤先生から届いた要約です。
    「オバマの広島来訪は急に起きたことではない。被爆70年、ヒロシマ、ナガサキのニュースが多くなり、メディアでのプレゼンスの拡大が背景にあった。9,11/3.11を経験した世界は、二一世紀原爆を巡る世界の核批評に意識の変化が起こり、二つの都市の名前を様ざまな言説が浮上させ、特にヒロシマへの言及がしばしばみられるようになったこととも無縁ではない。
    オバマがヒロシマにやってきた2016年は、被爆71年目であった。はじめに、その前年2015年、戦後70年の意味を考える。2015年には、多くの被爆体験を語る記憶の書、写真集、歌集、中でも奥付に八月六日/九日を記す『決定版広島原爆写真集』『決定版長崎原爆写真集』や、『被爆樹巡礼』、主要書評誌が絶賛した岡村幸宣『〈原爆の図〉全国巡回』など、被爆の原点に回帰する視覚的作品も注目された。60年目でも80年目でもない70年は特別な意味を持っていた。なぜだろうか。
    批評界でも、戦後レジームの解体を目指す研究、たとえば直野章子の労作『原爆体験と戦後日本』また原爆小説と沖縄小説を同じ地平で゙論じる村上陽子『出来事の残響――原爆文学と沖縄文学』、広島と福島3.11の接続性を論じる多くの本や論文が出た。包括的核日本文化論、山本昭宏『核と日本人―ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ』等が出版され、戦後の総括がゴジラ論を見据えた新たな様相を持つにいたった。歴史家の成田龍一によると、「記憶の時代に入った原爆経験を歴史化するための営みが開始された」のである。
    こうした中で2016年5月27日、伊勢志摩サミットで来日したバラク・オバマの現職大統領としては初めての広島訪問が決まった。議論の多い主語なき慰霊碑「過ちは繰返しませぬから」の文言にも拘わらず、時代は大統領が立った慰霊碑を中心に〈原爆〉の歴史化に向かってさらに大きく動き始めたのである。論じつくされたかに見えるこの歴史的傑作であるスピーチを文学として分析し、来る先進7か国ヒロシマサミットにも触れる。」

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    伊藤詔子先生 伊藤詔子先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 24回目 2022年11月16日(水)

    教養講座は渡邉敏正先生(広島大学名誉教授)による「アルゴリズムのおはなし」でした。アルゴリズムとは、ある必ず解がある問題があった場合、有限回の操作をすれば解が得られる手順のことです。コンピュータのプログラムと混同される場合がありますが、「アルゴリズム」は手順書、「プログラム」は指示書にあたります。渡邉先生は、「探索」を例に、講義されました。
    「探索(Searching)とは、多数のデータを含む集合に対して、指定したデータをその集合の中で探す操作のことです(指定したデータの有無を判定する操作)。探索に着目し、コンピュータでの操作を前提として、代表的な探索方法(アルゴリズム)とその性能評価を実例を使って分かりやすく解説します。」
    今の高校生は、アルゴリズムとプログラムについて勉強しています。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    渡邉先生渡邉先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 23回目 2022年11月9日(水)

    柏村武昭さん 人生は 出逢い・人生は友達

    今回の講師は「木へんにホワイト」でお馴染みのフリーアナウンサー柏村武昭さん。ルックスも以前のままキープされ、相変わらずのパワー全開の講義でした。子供のころから相撲の実況が得意でクラスの人気者に。モノマネも得意でアナウンサーの就職試験の時、前の年に行われた東京オリンピック開会式の架空実況をして、面接官から大絶賛されたエピソードを話してくれました。教室でも、その時の天皇陛下の開会宣言の様子がモノマネで披露され、盛んな拍手がおくられました。又、座右の銘は、年中無休を文字って「年中夢求」。生きている限りいつも夢を追いかけなさいと熱弁され、かつての人気番組「テレビ宣言」でのキャスター時代、いつも妥協を許さず、県民の要望に応えるために、夢を求めて権力と闘ってきたと熱弁されました。又、元参議院議員でもある柏村さんは世相にも敏感で、高齢者の保険料値上げのニュースを取り上げ、『弱いお年寄りの声が全く無視されている』と怒りを込め、私が党首になるので皆さんと一緒に「老人党」を設立して、お年寄りの声を政府に届けましょうと呼びかけました。いまも変わらぬエネルギッシュな柏村さんの講義は、あっという間の90分でした。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    柏村先生 柏村先生

     

    早瀬光司(茶道表千家教授)先生から届きました

    茶室の掛け軸から、人生を読み解く =「哲学するって、どういうこと?」
    講師: 早瀬光司(茶道表千家教授)
    <広島リカレント学院・講義(221005)のまとめとして>

    令和4年10月5日に広島大学東千田キャンパス・広島リカレント学院において、上記タイトルの講義を行なった。出席者は60数名であった。講義では、各受講生に1枚ずつ配布した「自学用紙、または、レポート用紙」と題する回答用紙に、講義中に与えた設問(問1と問2)に対する回答を自由に書いてもらった。そして、講義終了後にその回答用紙を提出するか否かは、各受講生の自由であると説明した。通常の大学の講義では、筆者はこれまで受講生全員に回答用紙はレポート用紙として提出させていた。しかし、広島リカレント学院では事情が異なるので、受講生全員に義務的に提出させることは避けるべきとの方針のため、上記のように説明を行った。
    そして、何人くらいの受講生が回答用紙を提出してくるだろうかと興味津々であったが、31名の受講生がレポート用紙としてこれを提出してきた(提出して来なかった受講生にとって、その回答用紙は、自学用紙となる)。即ち、約半数の受講生が提出してきたことが分かった。
    ここで、提出されたレポート用紙中の回答文章を紹介することにより、本講義のまとめとしたい。
    なお、本講義における「茶室の掛け軸」としては、「一期一会」を主たる題材として取り上げた。そして、「一期一会」について、各受講生がどのように考え、どのような具体的行動として顕わしているか、現わしてきたかを(問1と問2)として提示し、回答してもらった。
    レポート用紙を読んでみての全体的な感想ないし講評としては、提出した受講生の多くが、自分が「人生をどう生きるか?」について、常日頃からよく考えていて、それを実行しようとしていることが分かった。読んでいて、とても嬉しく感じられた。
    以下に、「一期一会」について、受講生からの回答用紙に書かれていた内容のうち、幾つかを抜粋して紹介する。

     

    <「一期一会」について、受講生の回答から抜粋>

    1. その人に集中し、その事柄に集中し、その瞬間に集中して、接する。
    2. 相手にとっても良い瞬間となるよう、考えて行動する。
    3. できることは、プラス思考で、実行する。
    4. 自分から、思い切って話していきたい。
    5. することと、しないこととを、よく考えて選別し、動く。
    6. 今やることは、今やる。
    7. 人の意見を良く聞いて、最後は自分で考えて決める。それを真剣に実行する。
    8. 流されることなく、瞬間瞬間をしっかりと意識して行動する。
    9. しっかりと考えた後、気負わず、出来ないことは出来ないと、返すこともある。
    10. 常日頃から自分の生き方を考えていないと、「一期一会」を大切にする生き方は、できないと思う。
    11. 日々、学習である。 いっときいっときが、学習であり、人生である。
    12. 人目を気にすることなく、”自由”に生きる。
    13. 町内会の輪を、自分の中で拡げる。
    14. ボランティアの参加を続ける。
    15. 相手の気持ちを理解しようとして、相手の考えを尊重する。
    16. あいさつを必ずします。
    17. 言葉使いに気を付けたいと思います。言葉・ひと言で人は傷つきます。
    18. 人に優しく接し、仲良くやっていきたいです。
    19. 日々、時間を大切にしている。特に、早起きにつとめ、午前中は、頭も体も動く内に、できるだけの家事、仕事(洋裁)に没頭する。
    20. 笑顔で、穏やかな態度で接する。
    21. 犬を飼い始めて25年、毎日の散歩で同年代の愛犬家達とひと時を楽しみます。
    22. 本音で話す。
    23. お互いの気持ちを素直に伝えられる雰囲気を作る。
    24. 「瞬間」、「その時」に、相手に共鳴したことを楽しむ。
    25. 相手の意見や考えを尊重し、非難したり心を傷つけるような言動はしない。
    26. 瞬間、瞬間が大事。
    27. ”「いつか」やる” という 「いつか」はない という思いを、大切にして生きる。
    28. 一瞬一瞬を全力で過ごす。
    29. 具体的には、会話をするときには、相手の聞き役になることに重点を置く。
    30. 様々な視点から考えて思考を深め、少しでも自分が成熟できるようにしたい。
    31. その都度その都度を、真面目に真摯に人と接する。
    32. 私の精一杯の気持ちで、相手に接するようにしています。
    33. 相手に喜びを与えられるようにと、「一期一会」という気持ちを忘れずに、日々を過ごしています。
    34. 「やらないより、やった方がよい」と思っています。
    35. 「一期一会」とは、自分自身との向き合い方を考えさせられる言葉でもある、と思います。

     

    「一期一会」についてこれほど多方面的に、あるいは、多種・多義的に回答が生まれ出てきたのは、令和4年10月5日の講義を受講生(講師を含む)の皆さんが、良い「一期一会」にすることができたからではないかと思いました。
    そして「一期一会」において、この日はこの日としてひと区切りとなりますが、これからもずっと、一生、続けていくことになるはずです。年々、月々、日々、いっとき・いっときを、瞬間・瞬間を、「一期一会」で生きていくことが、自分自身の生を有意義に育むものであることを、確信しています。

    元気

     

    広島リカレント学院(第三期) 22回目 2022年11月2日(水)

    教養講座は川ア信文光先生(広島大学名誉教授)による「改めて自治体議会の任務を考える−2023年統一地方選挙を前に−」でした。
    先生は、まとめとして次のように述べておられます。

  • 日本の多くの自治体において、その役割についての自己認識や住民の期待は、なお上述「B(経済開発)モデル」の段階にある。「所貧乏」意識は、地方圏において未だに根強い。
  • 「Bモデル」の段階にあれば、首長と議会の政策方向は基本的に同じである。「地元の発展」の希求は、住民も共有している。
  • 「C(福祉国家)モデル」は、高度経済成長以降、大都市圏郊外の自治体に現れてきたが、全国的に優勢とは言えない。
  • 二元代表制の理想的な実現は、自治体の役割認識が「Bモデル」の段階にとどまるかぎり容易ではない。
  • 【二元代表制】首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選び、両者はともに住民を代表し、首長は基本方針を決定し、議会はそれを監視し、及び政策提案をし、両者がともに地方自治体の運営にあたる制度のこと。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    川ア先生川ア先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 21回目 2022年10月27日(水)

     

    教養講座は渡邊敦光先生(広島大学名誉教授・客員教授)による「食生活の改善による生活習慣病やがんの予防」でした。

     

    先生は、『食と医療 2022FALL-WINTER Vol.23』への特別寄稿「味噌の歴史と味噌がもたらす健康効果」の中で次のように述べられています。

     

    ⇒やっと味噌の機能について研究の緒がつき新知見が今後次々と発見されている。今後の研究がまたれる。ちなみに味噌と同じ原料を使いながらも食塩を用いず発酵させた「発酵そみファ」について広島大学名誉教授の吉栖らにより研究が始まっているが今後の結果が楽しみである。
    ⇒味噌の日本の歴史の中で701年に刊行された大宝律令に未醤という言葉が記載され、これが味噌の起源ではないかと考えられている。それから約1300年たつ現在も廃れることなく日本の生活に組み込まれてきた味噌は美味しいだけでなく健康に役立つことから最近注目を浴びている。ここではまず今まで判明した味噌の効能をすなわち、味噌には胃がん、大腸がん、乳がん並びに肝がんを抑制し、がんのみならず、放射防御作用並びに、血圧の増加や、脳卒中を防止することを明らかにした。さらに今後の展望を述べたい。

     

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    渡邊先生 渡邊先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 20回目 2022年10月19日(水)

    教養講座は加藤範久先生(広島大学名誉教授)による「フレイルと食生活−フレイル(虚弱)を防ぐ食生活について考えてみます−」でした。先生から届いた要旨です。
    今回の講演では、フレイルと食生活との関係についてお話しさせていただきます。
    フレイル(frailty:虚弱)とは、高齢者の筋力や活動が低下している状態で要介護の一歩手前のことです。以前は、長寿を目的とした栄養学が盛んに研究されていましたが、近年は、健康寿命を延ばすことを目的としたフレイルの栄養学が注目されています。最近では、フレイルは結腸がん患者の生存率を低下させることが報告されています。さらに、フレイルは新型コロナウイルス感染症の重症化と関連することも報告されています。
    フレイルの進展は脳機能や骨格筋機能、心肺機能などの低下と密接に関係していることがわかっていますので、それらの機能を高める食品成分や栄養素に着目した研究が行われるようになりました。たとえば、魚油のDHAやEPAの摂取が不足すると脳機能や心機能が低下することが以前から報告されており、フレイル患者でも赤血球中のDHAやEPAが減少していることが報告されています。その他に、血中の幾つかのビタミン類(ビタミンDやB6など)の減少とフレイルとの関連性も明らかになってきました。これらのビタミン類は、近年、我が国を含む世界各国で不足傾向にあり(おそらく野菜や魚介類などの不足)、隠れ栄養失調として注目されています。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    加藤先生 加藤先生

     

    広島リカレント学院(第三期) 19回目 2022年10月12日(水)

    教養講座は、野邉一寛先生(一般社団法人隠岐ジオパーク推進機構業務執行理事兼事務局長)に「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」について、教えてもらいました。
    ユネスコの正式事業となっている「ユネスコ世界ジオパーク」は、ひとまとまりの地域を指し、その地域では、国際的にみて重要な地質遺産や景観が、保全・教育・持続可能な開発という総合的な観点から管理されます。
    隠岐諸島は、時代によってその姿を“七変化”させてきた歴史があります。ユーラシア大陸と一体だった時代、湖の底だった時代、深い海底にあった時代、火山活動によって隆起した時代、そして島根半島と陸続きになった時代、離島となった現在。このような成り立ちを経たからこそ、世界的に見ても珍しい不思議な生態系や黒曜石による隠岐ならではの歴史・文化が、連続性を持って存在しているのです。
    隠岐ユネスコ世界ジオパークは、島根半島の北40〜80kmの日本海に点在する4つの有人島と多数の無人島によって構成されており、下記に示す境界線の内側をその範囲としています。離島という環境と海洋生物や漁業などの人の営みも重要であると考え、陸域だけではなく海岸から1kmの海域もあわせた673.5km2(陸域346.0km2、海域327.5km2)をジオパークの範囲としています。

    隠岐ジオパーク

     

    隠岐ユネスコ世界ジオパークでは、「大地」「生態系」「人の営み」 のつながりを見つけるとともに、環境保全活動や教育活動、地域を元気づける活動も行っています。(人と自然をつなぐ島 隠岐ユネスコ世界ジオパークホームページより)
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    隠岐ジオパーク 隠岐ジオパーク

     

    広島リカレント学院(第三期) 18回目 2022年10月5日(水)

    教養講座は、早瀬光司先生(広島大学名誉教授)による 「茶室の掛け軸から、人生を読み解く」=「哲学するって、どういうこと?」でした。先生は東京大学大学院工学系研究科工業化学科博士課程修了(工学博士)を広島大学総合科学部で教壇に立たれました。学問の道は、「化学、物理化学、地球化学、海洋化学、海洋科学、環境科学、廃棄物学、環境経済学、実践社会学、臨床心理学、哲学」、将棋の道は「日本将棋連盟五段」、 哲学の道は「実践哲学」、茶道の道は「茶道表千家 教授、道号・雅号 : 思切斎 早瀬宗光」を歩まれました。今回の講義について、次のように述べておられます。
    千利休が大成した「茶道」とは、行動を伴う「哲学」です。茶室の「掛け軸」の意味を深く考えることにより、「哲学するって、どういうこと?」 なのかを、しっかり習得できればと願っています。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    早瀬光司 早瀬光司

     

    広島リカレント学院(第三期) 17回目 2022年9月28日(水)

    教養講座は、白浜博幸先生(広島大学マスターズ会員)による「界面化学とバイオマテリアル(生体内医用材料開発における界面化学の利活用)」でした。先生から届いた要旨です。
    今回の講演では、生体内で使用される(人工)医用材料であるバイオマテリアルの開発に対して、界面化学の研究が如何に利活用されるかについてお話しをさせていただきました。我々の周りで観察される現象は殆どが界面で起こっています。例えば、洗濯の場合、衣服に付着している汚垢(おこう)粒子は固体で、一方の洗剤液は液体です。汚れを洗濯機で落とすというのは、実はこの固液界面において洗剤分子が汚垢粒子と繊維の間に入り、機械的に汚垢粒子を繊維から除去している、ということになります。これと同様に、血液と接触する材料では、まず血漿中のタンパク質がその材料表面特性に応じて吸着する現象が起こります。その結果、吸着したタンパク質の種類や量により、血の固まりである血栓形成が左右されるという具合です。我々が種々の表面特性を有する高分子微粒子(ラテックス)を用いて、これらへの血漿タンパク質(アルブミン・γ-グロブリン・フィブリノーゲンなど)の吸着性を測定したところ、最も血栓が形成されにくい良い材料としては親水性水和層(ヒドロゲル層)をその表面に有するスチレン/アクリルアミド(St/AAm)共重合体ラテックスなどが適していることが分かりました。また、これらの結果はタンパク質を分離・精製する分画材や臨床診断薬材料の開発などにも資することが判明しました。
    今回のお話しでは最初のイントロダクションにおける自己紹介(オランダ留学生活)に少し長時間を要し、司会者や聴講者の皆様方にご迷惑をお掛け致し申し訳ございませんでした。(白浜)
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    白浜博幸 白浜博幸

     

    広島リカレント学院(第三期) 16回目 2022年9月21日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授(中国地域エネルギー環境教育研究会 会長)田中春彦先生による「エネルギー環境問題と私たちの暮らし−持続可能な社会を目指して−」でした。
    前回は、地球環境問題の現状、大気の汚染とその防止、水質汚染と廃水処理の実際、エネルギー資源利用の現状と問題点などについての講義でした。
    今回は、1.地球環境問題の現状、2.大気・水質の汚染とその防止、3.地球温暖化の原因と現状、4.エネルギー資源利用の現状と問題点、5.我が国のエネルギー基本政策、6.カーボンニュートラルと水素社会の重要性、7.現下のエネルギー環境問題の解決に向けて、どのような心構えや対策が必要か?について、話していただきました。そして次のようにまとめられました。
    1.人間の健康的な生活と生命の維持のためには、現下の環境汚染や地球温曖化などの諸問題の解決が重要な鍵を握っている:これらの地球環境問題の大部分は、物質資源・エネルギー資源の過度な利用に起因している。その結果、地球の生態系を持続的に維持することが困難な状況となっている。特に途上国では、大気、土壌、水の環境汚染により様々な健康被客をはじめ寿命短縮や死亡のリスクが依然として大きい。地球温暖化による被害も途上国では既に深刻な状況となっている。
    2.エネルギー環境問題の解決に向けた取り組みの重要性:
    (1)多様なエネルギー源の確保(エネルギーミックス):火力や原子力発電などのエネルギー源にはそれぞれ長所・短所があることを認識すること。
    (2)原子力発電の利用に関する今後の取り組み(判断):原子力発電の問題はエネルギー問題の枠組みの中で、エネルギー源選択という視点から議論することが重要。エネルギー安全保障の観点から国民的議論が必要!
    (3)大幅な脱炭素化を実現するためには、非電力源の電化と電力源の低炭素化を推進する必要。
    (4)教育や意識改革の重要性:@省資源・省エネルギー(3R・3S推進)についての教育の一層の推進。“もったいない”、“足るを知る”の実践、A生活におけるライフスタイルの見直しや意識改革・価値観の変革を促すこと、B持続可能な発展のゴール(SDGs )に向けた教育(学校・生涯教育におけるESD)の推進

    田中先生の講義を通して、エネルギー環境問題が私たちの暮らしと密接に関わっていることをあらため認識しました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    田中春彦 田中春彦

     

    広島リカレント学院(第三期)15回目 2022年9月14日(水)

    教養講座は、日本遺産センターコンシェルジュ、清水徳秀先生による「百景図で旅する津和野町」でした。津和野百景図は、最後の藩主亀井茲監の業績をまとめた「以曽志乃屋文庫」とともに亀井家に納められた文書の一つで、藩主の側に仕えた栗本里治が藩内をめぐり、名所や風俗、食文化などをスケッチして約4年の歳月をかけて百枚の絵を描き、詳細な解説を加えてまとめたものです。作者の栗本里治は、弘化2(1845)年に生まれ、津和野藩政時代は殿様の側のお仕え役で茶室の管理などもする「御数寄屋番」という役職についていました。「津和野百景図」は、その時の記憶や外出時に描いたスケッチがモチーフとなったといわれています。若い頃に狩野派の絵を学び、百景図以外にも「津和野城下町全景図」など多くの絵を残しています。講義では、百景図、作者の栗本里治(号 格齋) 、百景図よもやま話、百景図で知る津和野の歴史などのお話でした。津和野の魅力をより深く知ることができました。※文及び図:津和野日本遺産センターホームページ 日本遺産 津和野今昔〜百景図を歩く〜より
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    津和野 津和野

     

    津和野 津和野

     

    臨時休講(8月31日・9月7日)のお知らせ

     

    事務局に、新型コロナ陽性者がでました。広島大学との話し合いの上、8月31日(水)、9月7日(水)を臨時休講にすることになりました。なお、再開は9月14日(水)になります。
    振替日は、教養講座及び専門講座の先生方と協議し、来年3月以降で調整の予定です。
    学院生の皆様には、大変ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします。

    広島リカレント学院 事務局

     

    広島リカレント学院(第三期)14回目 2022年8月23日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授、沖村雄二先生による「日本の庭園文化−全国の庭石・名石」でした。沖村先生のご専門は、地質学・古生物学で、公益財団法人仙石庭園代表理事であるとともに、東広島市高屋町の「仙石庭園銘石ミユージアム」の館長・学芸員として、庭園文化の普及、庭園管理に携わっておられます。講義のポイントについて、次のように述べられています。「日本の庭園文化は、仏教の伝来によってかなり影響を受けましたが、世界に誇る多種多様な庭石を産する地質構成であることから、有史前から独自の発達を遂げております。左右対称の「縮景式自然庭園」様式は、世界中の万博公園で保存されていることが、それを証明しております。」
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    沖村先生 沖村先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)13回目 2022年8月3日(水)

    教養講座は、蔵本順子先生による「映画、観てますか」でした。
    蔵本先生は、映画を観て、生き方を学んだと思います。特に、「風と共に去りぬ」のタラの地主の娘スカーレット・オハラが戦争で荒れ果てた農場に立ち、「神様に誓って、二度と飢えません」と天に向かって激しく言い放つ場面とか、任侠映画の高倉健さんのセリフ等から感動と学び、また、うっとりされたそうです。先生は、1981年、お父様の後を継ぎ映画館サロンシネマの代表取締役社長に就任され、映画の灯を消さないように奔走、2010年に福屋八丁堀店に八丁座を開館、2014年にサロンシネマをオープンされ、現在、(株)序破急の代表取締役社長として映画文化を守り、育てるため、活躍されています。映画文化に対する功績により、2016年11月に、藍綬褒章、中国文化賞を受賞されました。―やりたいことが描けたら、妥協せずに求めていく。映画館を作る時も、大好きな映画を、どうすればお客様に楽しんでいただけるかを一番に考えましたと、とおっしゃっています。
    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    蔵本先生 蔵本先生

     

    広島リカレント学院(第三期)12回目 2022年7月27日(水)

    教養講座は、谷本能文先生(広島大学名誉教授)による「ひかりと私たち」でした。先生から届いた要旨です。

     

    私たちは、太陽の光により生まれ、太陽の光により生かされている地球上の生物のひとつである。このようにひかりは私たちととても密接に関係している。本講義では、私たちと光のかかわりについて概説する。
    ひかりは、一般的には電磁波とよばれる。電磁波は進行方向に垂直な方向に、電波と磁場の周期的変化を伴う横波で、真空中を1秒間に30万kmの速度(光速、c = 30万km/s)で進んでいく波であり、光が1回振動する間に進む距離(波長(λ))と1秒間に波が振動する回数(振動数(ν))との間には c =λν の関係がある。同時に、電磁波は粒子としての性質をも併せもっており、1個の光の粒子(光子)の持つエネルギー(E)は、振動数とE = hνの関係がある(h:プランク定数、6.6 x 10-34 Js)。光の種類は 波長の短い方から長い方に向かって順に、紫外線(おおよそ200−350 nm)(1 nm = 10-9 m)、可視光線(400 nm−700 nm)、赤外線(1,000 nm−10,000 nm)、マイクロ波(107nm−109 nm)、ラジオ波(109 nm−1011 nm)と呼ばれている。太陽からは、おおよそ紫外線からマイクロ波の領域のひかりが地上にやってきている。
    人に対する紫外線の影響は、日焼け止めクリームなどに、SPFとPAで表わされている。SPF (Sun Protection Factor)は UVB(280-315 nm) の防止効果を表す指標で、たとえは、SPF50は、紫外線を浴びたときにできる皮膚の赤い斑点ができるまでの時間を50倍伸ばすことができるという意味である。一方、PA (Protection Grade of UVA)は、UVA(315-400 nm)の防御指数で、皮膚の黒化が起こる原因を防御する効果が、PA+ → UVA防止効果あり、PA++ → UVA防止効果がかなりある、PA+++ → UVA防止効果が非常にあるとなっている。可視光線は、私たちの眼が感じ取ることのできる波長のひかりで、ものの認識に使われている。赤外線は電気こたつの熱源として身近に使われているが、電源を入れるとすぐに炬燵が温まるのは赤外線のせいである。最近では、赤外線は高速光通信の手段として、大容量のデジタル信号を送るのに使われている。マイクロ波は、ラジオのFM放送・テレビの放送などにつかわれてきたが、最近はスマホなどの通信手段として使われている。また、私たちが日々お世話になっている電子レンジは、2450MHzのマイクロ波を使っており、スマホに使われている電磁波の波長と近い。ラジオ波はラジオの放送などに使われている。
    このように私たちの生活とひかりの間には切るに切れない仲があり、ひかりなしで私たちは生きていくことができない。

     

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)

     

    谷本先生 谷本先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)11回目 2022年7月20日(水)

    教養講座は、保坂幸男先生(広島大学元客員教授・現非常勤講師による「お米の話(精米・選別・味・健康)」でした。先生から届いた要旨です。

     

    お米一粒は小さいものですが、小宇宙のようにいろいろな研究テーマが詰まったとても大きなものでもあります。精米は玄米から糠の層を除去するだけのものが、しかし多くの人の知恵が投入されて今日の精米機になっております。お米には被害を受けた粒とかガラス等のお米以外のものが混入しております。今は光を使うロボットといってもよい機械で選別されています。
    お米にはいろいろな味のものがあります。昔はご飯にして食べてみて味の評価をしておりました。今は近赤外線という目に見えない光線を使ってお米がその光をどれくらい吸収するかでご飯にしなくてもお米の味がわかるようになりました。
    お米は健康にも関係します。ものを食べると血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度が上がります。お米の状態によって血糖値の上がりやすさが変わってきます。

     

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    保坂先生 保坂先生

     

    広島リカレント学院(第三期)10回目 2022年7月13日(水)

    教養講座は、広島大学マスターズ・大阪大学名誉教授 室岡義勝先生による「あなたも食べています遺伝子組換え食品」でした。先生から届いた要旨です。

     

    ◆絶対に安全な食品はありません
    有機・無農薬栽培作物は、全て安全でしょうか?いえいえ作物の中には、毒性のあるものもあります。カビ毒、発がん性物質や重金属を含んでいるものもあります。発がん性物質を含んでいるワラビやゼンマイなどは灰汁抜きをして、対処してきました。
    ◆日本で流通している遺伝子組換え食品
    トウモロコシ、大豆、菜種、パパイア、ジャガイモ、綿、アルファルファなど8作物、33加工食品、15添加物食品目の遺伝子組換え食品が農林水産省と厚生労働省により認可されています。
    ◆遺伝子組換え作物の作り方
    病害虫に強い、除草剤に耐性、ビタミンや必須アミノ酸・脂質含有量を増加させる、乾燥や冷害に強いなどの遺伝子を細胞内のDNAに組み込んで、遺伝子組換え作物を育種します。
    ◆組換え遺伝子や組換えタンパク質は食べられるか?
    卵など遺伝子を貴方は毎日食べています。遺伝子DNAを食べると胃や腸内ですぐに分解されます。組換えタンパク質でも胃や腸で消化されてアミノ酸になります。
    ◆安全性評価試験は充分か?
    アレルギーが起きないか、毒性は無いか、体内に蓄積して悪影響を起こさないか、栄養成分に予想外の変化は無いかなどの試験が厳密に行われ、安全評価された組換え作物のみ認可されています。一方で、自然食品の安全性試験はなされていません。 
    ◆遺伝子組換え植物の環境への影響は?
    一般に育種作物は、保護しないと雑草に負けてしまします。在来種が組換え体に負けることは今のところ知られていません。組換え作物の花粉が飛んで在来種に混じったという報告はあります。生物多様性への疑念は、監視しなければなりません。
    ◆世界の食糧危機を遺伝子組換え作物が救う
    乾燥や冷害・塩害に強い、病害虫に強い、生産性が向上した組換え作物は、将来の食糧危機に対処するでしょう。
    ◆ゲノム編集技術による農業革命
    最近のゲノム編集技術により、より早く簡単に育種ができるようになりました。親株の遺伝子を壊して育種する場合は従来育種法と変わりませんが、この技術により外来遺伝子を組み込む場合は、遺伝子組換え審査の対象になります。

    大阪大学名誉教授・広島大学マスターズ

    室岡義勝

    murooka@bio.eng.osaka-u.ac.jp

     

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    室岡先生室岡先生

     

     

     

    広島リカレント学院(第三期)9回目 2022年7月6日(水)

     

     

    教養講座は、広島大学法科大学院 リーガル・サービス・センターの山田 幸先生による「身近な法律あれこれ」でした。法律について、基本の考え方、成立の背景、国による違いなどを教えていただきました。その上で弁護士のこと、親族関係の窃盗に関する親族相盗例、相続、遺言書など話していただきました。お話の最後を「一水四見」という言葉で締めくくられました。一つの水を見てもその見え方は人それぞれで、法律にはそのような面があるということでした。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。
    牟田学院長が来校されました。久々にリハビリを経た元気なお姿を拝見し、みなさん大変喜んでおられました。(事務局)
    山田幸先生山田幸先生牟田先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)8回目 2022年6月29日(水)

     

     

    教養講座は、広島大学名誉教授、青木孝夫先生による「21世紀に届ける日本的美意識」でした。先生の専攻分野は、美学芸術学で、東方美学会や日韓美学研究会の設立・運営に従事、美学会委員、広島芸術学会会長等、国際美学会で東アジアの重要性を唱導し活動されてきました。先生は、「文化変容の観点からする日本の美意識と芸術の諸相」、「文明の力学と比較文化」、「花の美学A」という三つの視点から、次のように話されました。
    ◆この授業では、政治や道徳が西欧化していく中で、美意識や芸術はどう変化したのか、あるいはしなかったのか等々の発想で、近代日本に於ける美意識を考察します。本日は花が主題です。
    ◆広島県出身の画家、児玉希望には<夜梅>という絵画があります。わざわざ夜という時間の梅を描くことから、日本人の美意識の一端がわかります。つまり、明るいところで花をまじまじと注視する対象として捉えるのではなく、梅の香気を早春の夜の雰囲気と共に享受し愛でているのです。ゴッホの<ひまわり>を比べてみましょうか。そのあたりから本日の授業は始まります。
    ◆芸術に関し、近代以前の代表的な考え方は、谷崎潤一郎の言葉が示すように、自己を押し出すよりも我が儘また恣意を抑えて、先生の型やお手本に従うやり方です。習字の朱筆です。永の字を書くと、先生が朱筆を入れて訂正します。(永字八法)ここでは、個性や独創性などは問題ではなく、まずは、お手本に従って、基本的な書の技術を体得することが肝心です。
    一方、西欧由来の近代的な芸術の考え方では、自由・個性・独創性・独自性・創造などの概念が重んじられていました。こうした一連の概念や考え方は、当初、大学等の知識人や研究者や洋行経験者を介して日本に入ってきたものです。例えば、山本鼎の説いた「自由画教育」です。個性と自由を前提に独創性や創造性を重んじ、創作に行き詰まり自殺するに至ったのは芥川龍之介です。太陽が緑に見えるならば、緑色の太陽を描くことも大切な個性だと主張したのは高村光太郎でした。彼らは、いずれも西欧的芸術観を尊重したのです。しかし、個性や自由という言葉は何も芸術や美学の分野だけでなく、社会の中でも語られました。例えば、自由恋愛です。
    そうした風潮に異を唱え、自国の伝統や土壌に立脚することを主張した知識人や芸術家もいます。今回の授業では触れられませんが永井荷風がそうです。また日本近代を代表する小説家でもあれば知識人でもある夏目漱石です。彼は『現代日本の開化』他で、その浅薄な近代化のありようを批判したのです。それらは、またいずれの時にお話できれば、と思います。

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    青木先生 青木先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)7回目 2022年6月22日(水)

     

     

    教養講座は、広島大学名誉教授、二紀会理事の難波平人先生による「平和と美術」でした。画家であり研究者である先生は、「平和と美術」について次のように語られました。

     

    平和とは単に戦争や核兵器のない状態だけでなく、あらゆる人々の人権が認められ、貧困、飢餓、暴力からの解放、公平さ、正義が社会に浸透した状態のこと。平和とは言い換えれば幸せな「日常」のこと、「平和を守れ」と言うよりも「この日常を守れ」、「生きていて良かったと思うこと」と言う方が意味がはっきりする。ドイツの哲学者、イマヌエル・カントは、1975年、75歳の時に刊行の「永遠平和のために」で、「人間の自然状態は戦争状態である。平和は人間が自ら創設してゆかねばならない」と語った。これは、国家を超えた法的保証を作ることであり、例えば国連である。
    私は、平和の創設には、@事実を伝え続けること(アートで訴え)、A世界との連帯、暴力のない世界(教育の貧困対策)、B核兵器の脅威(市民の行動、ドイツ、スイス原発撤廃)、C身近なことから平和への行動、D戦争の記憶と記録の発信(ポーランドのアウシュビッツ、ユダヤ人大虐殺殉難者モニュメント、碑、芸術作品)、現代社会の在りようをすくいあげるために、戦争のあらゆる痛みを共有しなければ平和はこないと思っている。
    芸術作品とは、私もそう思うという人類が共有できるものを気付かせてくれる。芸術の創作の原点は、生命、愛、そして平和への希求である。生きることの素晴らしさ、他者への思いやり、告発、困難をのりこえる力など、感動し、なぐさめられ、生きる勇気を与えられる。
    美術作品の特質は、文字、言語が無くても視覚で訴え国境や時代を一晩にして越える力がある(80%の視覚に頼っている)、後世に訴える媒体として残すことができる、聴覚よりも視覚の方が記憶に残る。
    戦争の記憶をどのように伝えるかの事例として、@戦争の記録を発信(広島平和記念資料館、被爆者や画家の作品、ポーランドのアウシュビッツ、イスラエルエルサレムのユダヤ人大虐殺殉難者・英雄記念局美術館など)、A不条理な暴力を告発する画家の作品。ピカソの「ゲルニカ」。1937年、スペイン北部の町ゲルニカがフランコ軍を支援するナチスの無差別爆撃を受けた「ゲルニカ」を描いた絵は、命の大切さ、尊さ、家族愛、人間が普遍的に持っている美しさに気づかされる。

     

    午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    難波先生難波先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)6回目 2022年6月15日(水)

     

     

    教養講座は、広島大学前教授 小方 厚先生による「音楽と物理学」でした。先生のご専門は、ビーム物理学、プラズマ物理学で、折に触れてジャズ演奏をされるとのことです。本講座では、2020年10月に、「ジャズの楽しみ」という講義をしていただきました。今回は、「雑音と楽音の違いから始め,ドレミ…という音階の構造,協和音と不協和音,管楽器・弦楽器と鍵盤楽器の違い,平均律とは何か,計算機音楽などについて(先生)」、話していただきました。講義内容を、理解しやすく、かつ楽しくするために素晴らしい画像と音の教材を制作していただきましたが、会場の音響機器の関係で、「正弦波音として時報を鳴らしたのに,『プ・プ・プ・プーン 440Hz 440Hz 440Hz 880Hz』の最後の『プーン 880Hz』が途中『プー』あたりで切れてしまう。うなり beat はだめ.中央 C 261Hz にその上の D, E, F,... などを重ねても,重音として聞こえず,高い方の音 すなわち D, E, F,... などの単音としか聞こえない。講義を中断し,iPad の電源を切ってまた入れてみた.さらに iPad を iPhone に替えてみたが同じこと...用心のために Keynote ファイルを両方に入れていったのだ。音楽は正常に聞こえるが,正弦波音はダメという印象……。(先生)」になり、先生と学生さんにご迷惑をおかけしました。事務局として、より魅力ある学院にするためのサポートの大切さを再認識しました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    小方先生 小方先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)5回目 2022年6月8日(水)

     

     

    教養講座は、カープ女子会リーダーの住本明日香さんによる「カープよもやま話」でした。住本さんは、RCCラジオ「秘密の音園」のコーナーや「アスカランド」「カープ女子恋する応援団♪」のパーソナリティー、ラジオカー中継リポーター等、マルチタレントとして多方面で活躍されています。広島カープの魅力や観戦の楽しみ、カープに関する裏話など、楽しく話していただきました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    住本明日香先生 住本明日香先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)4回目 2022年6月1日(水)

     

     

    教養講座は、広島大名誉教授 岡本明先生による 「西欧と日本の近代化」 という講義でした。先生は、フランス近代史(絶対王政、革命史、ナポレオン時代)がご専門で、現在、広島マスターズ平和学講座「戦争と平和」、広島市財団法人の国際交流フランス語通訳として活躍されています。

     

    先生から届いた講義要旨です。

     

    日本の古代・中世がヨーロッパ・フランク王国(フランス王国)と類似するとの指摘は、既にあったが、近世から近代への転換については、日本は鎖国の影響と天皇制の軛(くびき)で決定的なハンディを背おい、太平洋戦争の悲劇もスタートボタンの掛け違いのためとする固定観念が長く、学界を覆っていた。けれども、ここ30年の著しい成果から、江戸幕藩体制には、近代日本を生み出す文化的・教育的素地ができており、社会的流動性も活発化していた。特に、鎖国でも、世界情勢の探知力は養われ、幕臣層が昌平黌など学問所を通して台頭した奉行・目付層が1850年以後、開国を迫る列強との交渉能力を示し、藩校・私塾も下級武士層の知見強化に貢献した(福山誠之館・藩主阿部正弘改称、頼山陽・修道館、吉田松陰・松下村塾)ことが明らかになっている。
    今回は西欧諸国と日本を突合せ、先発国イギリスの早熟性=地主主体の議会君主制、中発国フランスの革命の普遍理念1789年人権宣言の背後の深刻な党派対立→ナポレオン体制への変貌(1848年2月革命でも再現)、後発国ドイツの抱えた、ナポレオン衛星諸国とプロイセン王国の並立、イタリアのナポレオン姉妹国の変化を踏まえつつ、明治維新に焦点を絞って、これらとの異同を考えてみたい。

    2022年6月1日

    岡本 明

     

     

    日本の近世から近代への歩みに関する最近の研究成果、及びわが国の近世・近代の歴史の新しい視点について話していただきました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    岡本明先生 岡本明先生

     

    広島リカレント学院(第三期)3回目 2022年5月25日(水)

     

    教養講座は、広島大名誉教授 安藤忠男先生による 「SDGsが拓く人類の未来」 という講義でした。先生は、環境科学がご専門で、「SDGsの成立ちや実践の方法についてお話しします。SDGsが人類の直面している課題の解決に役立ち、私たちの子孫に明るい未来を残せることを願っています。」とおっしゃっています。

     

    先生から届いた講義要旨です。

     

    人類が直面している課題について考える「学生たちが考える人類の課題」、「2030年は人類存亡の分岐点とは?」に続く「人類の課題シリーズ」の第3回目でした。人類が抱える様々な課題を一挙に解決する方策として国連は、持続可能な開発目標17と今後15年間に達成したい169のターゲットを、2015年秋の国連総会に提案し、全会一致で採択されました。このSDGs成立の背景や意義について整理しました。
    国連は、それまでのMDGs(ミレニアム開発目標)の成果と残された問題点を3千人の専門家が3年間かけて討議したそうで、人類の発展方向を明示した人類の中期ビジョンを示し、各国家や自治体ばかりでなく、地球上の全ての事業者や個人にSDGs達成への協力を呼びかけました。その結果多くの自治体、事業者、個人が自発的に2030年全SDGsの達成に向けて取り組んでいます。講義では、私たち一般市民はどのように協力したらよいかを考えるためにわが家の取組みを紹介しました。より多くの人々が17の目標の全てについて、日々の生活の中で取り組まれることを願っています。
    2030年まであと7年間。全ての目標を達成することは容易ではありませんが、人類が一致団結して目標の実現に努力すれば、人類の未来に明るい展望が開けてくるものと確信しています。今までの3回の講義は総論的でしたので、もし機会があれば次回から各論編として、各目標について受講生の皆様と共に具体的に論じあっていきたいと思います。

    2022年5月25日

    安藤忠男

     

     

    SDGsは、国として取り組まなければならない課題であると同時に、私たち一人ひとりの問題でもあることをあらため考える機会になりました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    安藤忠男先生 安藤忠男先生

     

    広島リカレント学院(第三期)2回目 2022年5月18日(水)

     

    教養講座は、広島大名誉教授 井上研二先生による「ロシアによるウクライナ軍事侵攻」 という講義でした。先生は、ロシア語学、現代ロシア論が専門で、現在、世界に大きな混乱をもたらしているロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関する歴史的背景、両国の関係性、今後のなどについて、話していただきました。

     

    先生から届いた講義要旨です。

     

    ロシアによるウクライナ軍事侵攻は今年の2月24日に始まったが、両国間の対立はソ連が解体し、それぞれ主権国家として独立した時にすでに生まれていた。@クリミア半島のセバストーポリを基地としていたソ連黒海艦隊の所属問題Aクリミア半島それ自体の帰属の問題B核管理の問題等での対立である。また両国は同じ東スラブ民族でありながら、それぞれ兄と弟、あるいは支配者と被支配者の関係でもあった。しかしウクライナ人の方がロシア人より民族主義的意識が強い傾向が見られる。またウクライナは石油や天然ガスの産出が少なく、資源大国ロシアに依存してきたことからやむなく「付かず離れず」の関係を守り続けてきた。しかしウクライナに「オレンジ革命」を経て2005年に親欧米派のユーシェンコ政権が誕生し、EUおよびNATOへの加盟を志向するようになると、ロシア側からの締め付けや嫌がらせが繰り返されてきた。ゼレンスキー現政権はさらに親欧米的傾向が強いようにロシアのプーチン大統領には映ったようで、「ナチス・ドイツと同一視する」と発言している。
    今回のウクライナ軍事侵攻の大義は、ウクライナ東部ドンバス地方に住む親露派のロシア系住民がウクライナ政権から虐待を受けているので、彼らを救済するためだとプーチン大統領が主張しており、当初ゼレンスキー政権を倒して親露派政権を樹立するため、首都キーウを攻撃、陥落させようとしたが、ウクライナ軍の抵抗と反撃が予想外に強く、この作戦を諦め、軍を東部へ転進させた。その際ロシア軍はキーウ近郊でジェノサイドとも呼ぶべき戦争犯罪が行われたとのことだ。
    2014年のクリミア併合時のウクライナ軍は弱体化しており、ほとんどロシア軍特殊部隊にほとんど抵抗できなかったが、その後60億ドルに上る軍事援助をアメリカから得て、対戦車ミサイルはじめ先端兵器など装備を充実させるなど、見違えるような軍事力に様変わりしていた。ロシア軍が苦戦しているのはそこにある。ロシアはヘルソン州とマリウポリを併合することでクリミアと陸続きで南東部全域を掌握しているが、東部ではウクライナ軍の激しい抵抗で大苦戦している。こうした戦争は一刻も早く終わらせるべきだが、先の見通しが立たない。

    2022年5月18日

    井上研二

     

    井上研二先生井上研二先生

     

     

    広島リカレント学院(第三期)1回目 2022年5月11日(水)

    第三期1回目の教養講座は、広島大学副学長 佐藤利行先生による「中国文学」でした。広島大学長 越智光夫先生、副学長 佐藤利行先生共著の「知っておきたい中国故事 胡蝶は夢なのか」を題材に講義されました。現在、世界は新型コロナ、ウクライナ紛争など大きな問題が次々と発生し先が見えません。このようなとき、私たちは何を指針にして進めばよいのでしょうか。中国故事には、たくさんのヒントがあり、それを手掛かりに自分で考えることの大切さを教えていただきました。なお、越智光夫・佐藤利行共著「知っておきたい中国故事 胡蝶は夢なのか」は、第三期1回目の記念として、みなさんに進呈されました。
    佐藤利行先生 佐藤利行先生

     

    第三期入学式 2022年5月11日(水)

    第三期入学式が行われ、広島大学副学長 佐藤利行先生、広島大学名誉教授 渡部和彦先生(牟田泰三学院長代理)から祝辞をいただきました。牟田学院長の一日も早い回復と復帰をみなさん願っておられました。
    第3期入学式 佐藤先生 第3期入学式 渡部先生 第3期入学式

     

    ボーリング、ミニテニス、川柳、各同好会の紹介がありました。
    同好会 同好会 同好会 

     

     

    第三期学院生募集中 2022年5月11日(水)スタート

    第3期募集チラシ 第3期募集チラシ

     

    広島リカレント学院 第二期終業式 2022年4月13日(水)

    広島リカレント学院 第二期終業式が行われました。牟田泰三学院長の式辞です。
    「皆さん、本日をもって、本学院二期目の授業が全て終了します。まことにお目出度うございます。このように授業を完結できたのも、学院生の皆さんの勉学意欲と熱意に支えられ、先生方の優れたご指導があったからに他なりません。この二期目の授業も、一期目と同じように、新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、度重なる休講措置を余儀なくされました。しかしながら、慎重かつ十分な対応措置をとることによって、四十回の授業を完了することが出来ました。このような厳しい環境のもとで、対面授業を続け、一人の感染者も出さず授業を全うすることが出来たのは、学院生の皆さんをはじめ全ての関係者のご尽力によるものです。有り難うございました。二期目の授業が学院生の皆さんの勉学意欲をさらに深め、幅広い教養を形作ってくれたものと確信します。来る5月11日から始まる三期目の授業でも、目を輝かせて授業と取り組む学院生の皆さんと共に学ぶことが出来ることを期待しております。」
    牟田学院長は、ご都合により欠席で、広島大学名誉教授 渡辺和彦先生が代読されました。式辞に続き、牟田学院長からのビデオメッセージ、広島大学理事・副学長 文学博士 佐藤利行先生の祝辞、16名の学生さんに皆勤賞が贈られました。三期目は、5月11日(水)から始まります。
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    広島リカレント学院(第二期)38回目 2022年4月13日(水)

    教養講座は、漆芸家 七代金城一国斎先生による「尾張から広島へ 漆芸家 金城一国斎の系譜と作品」でした。わが国の漆の技法には、漆絵、蒔絵、彫漆、高盛絵など、他国にない多様な装飾技法があり、その源流は正倉院宝物にあるそうです。七代金城一国斎先生は、広島で発展した高盛絵の技法を受け継がれています。高盛絵について、先生は次のように語られています。
    「高盛絵は近代漆工史の中でひときわ輝く個性美を放ち続ける独特の漆芸技法です。 花や果実に誘われる蜂や蝶、それを狙うカマキリを生き生きと立体的に表現するなど独特の世界を創り上げ、19世紀末にヨーロッパで流行したアールヌーボーにも影響を与えました。広島で発展したこの技法は、歴代金城一国斎が一子相伝で受け継いで来ました。漆芸家金城一国斎は、江戸時代後期に尾張徳川藩の小納戸御用塗師であり時代蒔絵を得意とした初代一国斎を祖とし、尾張藩を出奔し独自の漆芸を追い求め高盛絵を創案した二代一国斎、明治に入り内国勧業博覧会などに出品・受賞し漆芸技法として高盛絵を確立した三代一国斎、大正・昭和に茶道・俳句など風流人として高盛絵に色を添えた四代一国斎、帝展審査委員の赤塚自得の門をたたき蒔絵を修得し細密な高盛絵を創り上げた五代一国斎、 五代の右腕として創作を助け現在へ伝えた六代一国斎、そして彫漆や切金を加え新たな高盛絵を創造する七代一国斎に受け継がれています。」
    先生は、現在、広島県指定無形文化財「一国斎高盛絵」技術保持者として、高盛絵の技術保持とその発展に尽力されています。広島にこのような素晴らしい伝統文化が残っていることを大変うれしく思うとともに、ますますのご活躍を期待したいと思います。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    金城先生 金城先生

     

    広島リカレント学院(第二期) 37回目 2022年4月6日(水)

    教養講座は、広島大学(前)准教授・客員教授 白浜 博幸先生による「SDGsの時代にかかせないバイオプラスチックの開発について」という講義でした。講義のポイントは、「現在は環境を意識した商品でないと企業も生き残っていけない時代である。本講座では地球環境に優しいバイオプラスチックの意義やその利活用について言及したい。」ということでした。
    先生のご専門は、界面化学・高分子化学(バイオプラスチック)で、最近、耳にすることが多いSDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)と深いかかわりがあります。SDGsは、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために揚げた17の目標です。各目標に対して全部で169のターゲットが設定されていて、その一つにペットボトル、発泡スチロール、ビニール袋などのプラスチック問題があります。海洋等に投棄されたプラスチックがマイクロプラスチックになり、それを海洋生物が体内に取り込み被害を受けています。今、その被害が人に及ぶことが懸念されています。その解決策としての新しいプラスチック:グリーンプラ(生分解性プラ)の開発について教えていただきました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    白浜先生 白浜先生

     

    広島リカレント学院(第二期) 36回目 2022年3月30日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授 原野 昇先生による「フランスの少数話者言語―多言語国家フランス」という講義でした。先生から届いた講義概要です。
    「フランスではフランス語が話されていると思われていますが、実はフランス語以外の言語を話す人もいるのです。主なものは、オック語、フラマン語、アルザス語、カタルーニャ語、コルシカ語、バスク語、ブルトン語の7つの言語です。フランスは多言語国家なのです。これらの言語は、話す(母語とする)人の数が相対的に少ないので、少数話者言語と呼ばれます。これらの言語を話す人にとっては、フランス語は後から学習して習得した第2の言語なのです。母語と母国語(フランス語)の2言語併用者(バイリンガル)なのです。ここで、国家、国民、国籍、国境、ということが問題になってきます。四方を海で囲まれている日本と異なり、陸続きで国境を接している国々にあっては、言語集団の地域(境)と国境とが一致していないことが非常に多いのです。」
    原野先生のお話を聞き、平和を実現するためには、複雑に絡み合った言語、民族、国境、歴史などをときほぐし、みんなが納得し許容できる解決にむけての地道な努力しかないと思いました。その日を心から願います。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    原野先生 原野先生

     

    広島リカレント学院(第二期) 35回目 2022年3月23日(水)

    教養講座は、広島リカレント学院長(広島大学元学長)牟田泰三先生による「浦島太郎の本当の話」という講義でした。牟田先生から要旨が届きましたので紹介します。
    「浦島太郎物語には、太郎が竜宮城から帰ってみると、すでに数百年前に知っている人々はいなくなっていたという不思議な記述があります。2021年8月18日に行った教養講座講義では、この謎は相対性理論で完全に説明できるという話をしました。
    確かに、この説明は科学的に明快だけど、ちょっと味気ない気もします。そこで今日は、浦島太郎のそもそもの話を調べてみることにします。
    現在残っている文献を調べてみると、浦島太郎の事件は、太古の時代に本当に起こったことだとして記述されています。実際、西暦700年代に残された丹後国風土記(原本はないけどそれを写したノートがあります)に最初の浦島に関する記述があり、西暦720年に残された日本書紀には、浦島の話を西暦478年の事件として記述されています。また、西暦759ー780年に制作された万葉集巻九には高橋虫麻呂作の長歌(歌番号1740)として掲載されており、その他、日本各地に説話として残っています。鎌倉末期から江戸時代には、御伽草子、即ち絵本、として流布され、西暦1900年には浦島太郎童謡(文部省唱歌)も作られました。
    浦島太郎の事件は何と約1500年も前に実際起こっているのです。これらの文献を読んで気がつくのは、常世の国(とこよのくに)という言葉です。常世の国とは、古代日本で信仰された、海の彼方にあるとされる異世界のことです。常世の国は永久不変であり、不老不死の世界であり、日本神話の基本となる概念です。浦島太郎は、竜宮城という常世の国に行っていたのです。だから歳を取らなかったのです。」

    浦島太郎のお話をとおして、相対性理論という物理学の基本と日本書紀の基本の考え方を教えてもらいました。世界が少し広がったような気がします。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    牟田先生 牟田先生

     

    広島リカレント学院(第二期) 35回目 2022年3月16日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授 谷本谷本能文先生による「ひかりと私たち」という講義でした。
    先生から届いたメッセージを紹介します。
    「私たちは、太陽からの光の恵みの下で生きている。本講義では、光とは何か、私たちの生活とどのように関係しているのかについて理解を深めたい。
    光は、進行方向に垂直方向に振動する電場と磁場の波“電磁波”である。電磁波は、真空中を1秒間に30万km進む(光速30万km/s)。同時に、電磁波は粒子としての性質を併せもっている。波としての性質は、波の一周期の長さ(波長)と1秒間に振動する回数(振動数)で定義され、1個の光の粒子(光子)持つエネルギーは振動数とある関係を持っている。波としての光は屈折や回折などの現象を示し、例えば、情報の通信手段として使われている。また粒子としての光は、色々な物質に吸収され、その物質はエネルギーのリッチな状態になり、その状態から熱に変わったり、光(蛍光)を発したり、化学反応を起こしたりする。『虹はどうしてできるの?』『ラジオのAM放送とFM放送の違いは?』『光通信はなぜ大容量の情報が送れるの?』などなどの日頃の疑問を解決しましょう。」

    光が波と粒子というの二つの性質を持っていること、それがわれわれの暮らしにどのように利用されているかなどを分かりやすく話していただきました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    谷本先生 谷本先生

     

    広島リカレント学院(第二期) 34回目 2022年3月9日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授 渡部和彦先生による「平和都市広島・長崎とオリンピック ー訪ね歩き体感したい平和−」という講義でした。
    先生から届いたメッセージを紹介します。
    この講義は、ロシア(プーチン政権)が隣国ウクライナへの侵攻の最中で行われた。
    北京オリンピックに続いて開催された、パラリンピックだが、いずれも、国連が求める「休戦」を無視してウクライナに侵攻した。しかも、軍事施設だけでなく病院を含む民間施設も砲撃し、子供たちを含め多数の民間人の犠牲。許しがたい暴挙は、原発への攻撃である。ウクライナ軍の予想を超えた抵抗に阻まれたロシア軍は、その焦りからか「核」の使用を公言するに至った。「被爆者を出すな」の切実な声が、広島県内からも発せられています。古代ギリシャでは神々(オリンポス)に捧げる祭典として、スポーツ大会が4年ごとに開かれ、その期間は、一切の戦争は中止された。近代オリンピックの創設者、クーベルタン男爵(仏)は、その理念に共感し、世界各国から集う青年たちの「交流と友情」に、国際平和に貢献できる「教育的価値」を確信し、その思想は世界中に広まり、今日に至っています。
    さて、「2020・広島オリンピック」招致の市民活動をご存じですか。推進派市民の皆さんは、長崎市との共催で実現させ、被爆の実態を世界伝える絶好の機会と捉えました。リカレント学院「健康づくりウオーキング」講座では、被爆の小学校や、延焼を防ぐ集団作業中に被爆し。犠牲となった、多数の生徒、女学生の名前が刻まれた碑など、各地を訪ね歩きました。それぞれの場所で感じたことは、「体感すること」の意義でした。前述の「広島・長崎」の名を冠したオリンピック招致の課題@:複数の市の名称はダメとのIOC規約が壁?規約は、変わり(次期イタリア冬季大会は、2市共催で開催)。課題A:開催都市の政負担問題。スポーツ基本法は、オリンピック等重要な国際大会は、国の積極的財政支援が規定(平成23年)。核攻撃を平気で口にする指導者の出現は、脅威です。世界に向けた、「平和教育」の重要性とその持続的な方法(戦略)は何でしょう。

    先生のお話をとおして、平和の大切さ、そして平和を守り育てるための持続的な平和教育の重要性をあらため心に刻みました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    渡部先生 渡部先生

     

    広島リカレント学院(第二期) 33回目 2022年3月2日(水)

    教養講座は、広島大学名誉教授 田中久男先生による「南北戦争記念碑はなぜもめるのか?」という講義でした。
    先生から届いたメッセージを紹介します。
    「私の授業のトピックは、アメリカ社会で最近とみに熱を帯びてきている話題である。その起爆剤となったのが、2020年5月にミネアポリスで、白人警官の暴力によって黒人のジョージ・フロイドが殺された悲劇である。そこでまず、そうした人種差別が合衆国においては根が深いことを、17世紀初めにヴァージニア植民地に導入された奴隷制度の歴史から掘り起こした。その奴隷制度を基盤に、南部諸州が綿花王国を築き上げていくにつれて、北部の自由と平等を重んじる価値観と折れ合いがつかなくなる。ついに1860年のリンカン大統領の登場によって、連邦から離脱して南部連合を形成した南部11州は、南北戦争(1861-1865)に突入してしまう。敗戦によって奴隷制度を廃止し、連合国家を解体された南部は、『失われた大義』という特異な理念を精神の砦として、奴隷制度に替わる人種差別をジムクロウ法やクー・クラックス・クランの蛮行で継続し、その一方で、南北戦争の英雄たちの記念像を建立し、南部連合旗を誇示して、公園や通りを白人優越主義という価値観を発信する場にしてきた。それが日常の当たり前の風景であるかのような、民衆の教化手段にしてしまっているのである。これが今日、南北戦争にまつわる記念碑を残すべきか、取り壊すべきか、博物館に収蔵すべきか等の問題として、激しい討論の対象となっているのだ。」
    人種差別という古くて新しい問題は、世界中の国が抱えているといっても過言ではありません。とりわけアメリカにおいては、特異な様相を示して示しています。その背景、理由、及び現在の状況について、わかりやすく話していただきました。午後はそれぞれの専門講座の授業が行われました。(事務局)
    田中先生 田中先生